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楽三割子そば

出雲をまるごと三種の割子そば

松本蕎麦店

島根県松江市白潟本町

宍道湖の東にある松江市を訪れた。松江の市街地はいつも素通りばかりで、しっかりと街を歩くのは久しぶり。松江城を散策したりお堀を眺めたりしながら有意義な休日を満喫。そんなところでランチタイム。松江市は県庁所在地ということもあり、大きな都市なので飲食店はいろいろとあって、そんなに困ることはない。でも、ビジネス街でもあるので、場所によっては休日は休みのところが多いようだ。観光地ではないところの定食などが食べたいなぁと街を歩いていると、ふと気になった「そば」の文字。それも大きな公共の施設のような中に店があるようだ。別に何でもないような店だけど、妙に気になる。ということで中に入ってみることにした。場所はSTiCという市民活動センターの1階にあった。普通の小さな蕎麦屋のようだ。そういや、島根といえば出雲そばだよね。席に着くと、まずは蕎麦湯が運ばれてきた。それにゆで卵もサービスという。注文前からすごいなぁ。そして、名物の割子そばを食べることにした。この店には割子そばだけでもいくつもの種類があるみたいで「楽三割子そば」というのを注文。こちらは「おろし、もみじおし、わさび」の三種類がセットになっているようだ。しばらくして運ばれてくる。「おろし」は松江地方、「もみじおろし」は出雲地方、「わさび」は石見地方でよく食べられるものらしい。そばは曜日によって十割もあるらしいが、ふつうのそばにした。つるんとしたのど越しと、がっちりとした食感が、「おおっ、そばを食べてる」って感じにさせてくれる。ちなみに、薬味がちょっと違うだけなのに、どれもしっかりと個性があって、まるで別の食べ物のようだ。ピリリと辛めのもみじおろしが一番刺激的だったかな。出汁はとても濃いので、ほんの少しかけるだけでいいぐらい。蕎麦湯にも少し垂らして飲んでみた。この蕎麦湯がまたすごく濃厚でこちらも美味しい。ちなみに、どうやらこの店は有名店のようだ。この内装はNHKのドラマのセットだったとか。しかも、店そのものは200年も続く老舗とのこと。何の変哲もないのに、すごく気になったのは、どことなくそんなオーラが出ていたんだろうね。また、初めて知ったけど、出雲そばは「出雲市」が発祥ではなくこの地域で広く食べられていたもののよう。それに独自の文化というのではなく、信濃の松本藩から国替えで松江藩にやってきた松平直政がこの食文化を持ち込んだとの説が濃厚とのこと。ほほう、意外と知らないそばの歴史があったのね。
2022.04