温泉の学校
統計分析

日本には沢山の温泉がある。そんな温泉資源に恵まれた日本だからこそ、それを正しく利用して後世へと繋げて生きたい。そのために温泉は温泉法で守られ、厚生省が保護、促進のために管理している。

厚生省のホームページを見ているといろいろな情報が載っていて、それなりに面白い。そこで見つけたのが「温泉利用状況」に関する統計資料。今回はその統計資料を分析すると何が見えてくるのか、いくつか検証してみることにした。

■温泉地数 ※温泉地数は宿泊施設のある場所を計上

順位都道府県温泉地数
1北海道245
2長野県215
3新潟県147
4青森県132
5福島県131
6秋田県125
7静岡県112
8群馬県103
9鹿児島県100
10千葉県93
順位都道府県温泉地数
37長崎県31
37奈良県31
39山梨県28
40東京都27
40香川県27
42埼玉県26
42徳島県26
44佐賀県24
45滋賀県23
46鳥取県15
47沖縄県7

さすがは北海道、温泉のメッカと呼ばれるだけあって、温泉地の数はトップ。長野、新潟、青森と、東北や雪の多い地域が多いようだ。冬などは凍えた体を温めるには温泉が一番だからね。逆に少ない順でいくと真反対の沖縄が少ない。確かに温泉のイメージはほとんどないからね。温泉地として少ないのは関東以外だとほとんど西日本なんだね。意外な気もしなくはないが。

■源泉総数

順位都道府県源泉総数
1大分県4,385
2鹿児島県2,764
3静岡県2,261
4北海道2,230
5熊本県1,352
6青森県1,098
7長野県974
8福島県780
9宮城県755
10秋田県633
順位都道府県源泉総数
38千葉県157
39茨城県148
40京都府136
41愛知県134
42埼玉県111
43高知県97
44滋賀県86
45徳島県85
46奈良県72
47沖縄県15

源泉の数で言うと、10位以内にランクインしていなかった大分県がトップ。大分県は温泉県をウリにしているだけあるね。別府温泉や湯布院温泉をはじめ、九重町や玖珠町なんか個性的な温泉が目白押しだからね。いきなり熊本県が5位に出てくるのも面白い。源泉総数が少ない順は、ほぼ温泉地数と傾向は一緒のようだ。ダントツで沖縄県が少ないな。

■湧出量 L/分

順位都道府県湧出量
1大分県281,331
2北海道206,564
3鹿児島県156,346
4青森県153,054
5熊本県133,661
6静岡県119,426
7長野県114,830
8岩手県108,115
9秋田県88,322
10福島県81,447
順位都道府県湧出量
38愛知県17,782
39埼玉県16,237
40千葉県14,052
41香川県11,608
42滋賀県10,114
43徳島県8,009
44福井県7,982
45奈良県6,033
46沖縄県4,318
47高知県3,661

こうなると実際の湯量別も知りたくなる。湧出量で順位をつけるとやはりトップは大分県。源泉数が多いから湧出量もそれだけ多くなるからね。それで北海道が巻き返して2位。逆に少ないのは沖縄県を抜いて高知県が最下位。それからいきなり福井県が出てきた。それにしてもトップの大分県は最下位の高知県の77倍近い湯量があるのも驚き。

■1kuあたりの湧出量 L/分

順位都道府県湧出量
1大分県44.37
2熊本県18.04
3大阪府17.81
4鹿児島県17.02
5青森県15.87
6静岡県15.36
7神奈川県14.07
8東京都13.55
9和歌山県12.23
10福岡県11.37
順位都道府県湧出量
38宮崎県3.22
39岡山県3.18
40千葉県2.72
41滋賀県2.52
42北海道2.48
43徳島県1.93
44福井県1.91
45沖縄県1.89
46奈良県1.63
47高知県0.52

面積が広ければ有利になるので、各都道府県の1kuあたりの湧出量を出してみた。するとトップの大分県はダントツなのはわかるけど、今までトップ集団にいた北海道がビリ集団にいるではないか。面積が広いだけで、実は温泉資源の乏しい場所だったのね。逆に温泉地数の少ない東京都がトップ集団に出てきているのも興味深い。温泉銭湯などが多いので、宿泊を伴わない施設の源泉が意外と多いのかも。

■宿泊施設数

順位都道府県宿泊施設数
1静岡県1,887
2長野県1,168
3大分県777
4北海道683
5群馬県598
6神奈川県593
7新潟県544
8福島県529
9栃木県420
10熊本県412
順位都道府県宿泊施設数
38奈良県68
38宮崎県68
40香川県53
41高知県49
42大阪府45
43滋賀県43
44東京都41
45埼玉県36
46徳島県31
47沖縄県8

温泉を利用した宿泊施設数となると静岡県がトップ。そして長野県、大分県と続く。やはり大きな温泉地がたくさんあるところが上位に入るんだね。先ほどまで元気のなかった関東勢がここでは大躍進だ。逆に西日本は九州の大分県と熊本県以外は出てこないのが不思議。

■年度延泊者利用人員と、その1kuあたりの人員

順位都道府県利用者数
1北海道13,153,754
2静岡県11,223,108
3長野県7,605,520
4群馬県5,919,468
5兵庫県5,588,579
6神奈川県5,491,251
7大分県5,282,944
8栃木県4,562,197
9福島県4,366,429
10山梨県4,112,526
順位都道府県利用者数
1神奈川県2,272.87
2静岡県1,443.12
3大阪府1,287.77
4石川県978.30
5群馬県930.44
6山梨県921.06
7大分県833.14
8和歌山県733.94
9栃木県711.95
10三重県683.51

年間に宿泊施設に利用した人数もこの表にはあったので見てみると、大きな観光地が多いところが上位に入ってきている。神奈川県は箱根周辺、静岡県は伊豆半島が温泉天国だからかな。兵庫は有馬や城崎などもあるしね。そして面積あたりの人員も算出してみると、3位に大阪府が入っていてびっくり。4位に石川県が入ってくるなど、ようやく違った顔ぶれが出てきたし、関西勢がちらほらと見えてきた。

■年度延泊者利用人員を収容人員で割った数値

順位都道府県充足度
1大阪府210.3
2沖縄県197.57
3山梨県152.05
4兵庫県144.09
5石川県141.45
6愛媛県139.06
7広島県132.62
8滋賀県129.5
9京都府121.14
10香川県120.46
順位都道府県充足度
38静岡県79.33
39福島県77.04
40高知県74.71
41富山県74.69
42宮城県74.35
43千葉県71.45
44鹿児島県69.16
45福井県66.94
46青森県55.52
47新潟県52.5

稼働率を換算してみようと宿泊者をその人員で割ってみたところ、意外な結果が出てきた。上位に大阪府や沖縄県が出てきた。温泉宿泊施設は少ないわりに利用者が多いってことだね。下位に有名温泉地を抱える強豪たちがいる。温泉地が大きいということは、その分だけ利用者も増えるけど、宿側の競争も強いられているということかな。とても面白い。

■温泉利用の公衆浴場数

順位都道府県公衆浴場数
1長野県710
2鹿児島県539
3静岡県492
4北海道448
5大分県373
6熊本県341
7青森県280
8群馬県276
9兵庫県231
10栃木県230
順位都道府県公衆浴場数
38香川県74
39京都府70
40岐阜県62
41鳥取県53
42奈良県52
43福井県49
44高知県45
45徳島県42
46滋賀県26
47沖縄県18

これまでは観光の観点から見てたけど、地域性をみるべく温泉利用の公衆浴場数のランキングを見てみた。やはり大きな温泉地、特に古くからの温泉地を持つ地域は公衆浴場が多いのが目立つね。逆に公衆浴場が少ないのはすべて西日本。温泉資源の有無だけではなく文化的な違いもありそうだね。

■人口一万人あたりの公衆浴場数

順位都道府県割合
1長野県3.4
2鹿児島県3.292
3大分県3.217
4秋田県2.189
5青森県2.164
6熊本県1.922
7山梨県1.735
8和歌山県1.635
9佐賀県1.569
10島根県1.435
順位都道府県割合
38京都府0.269
39茨城県0.265
40千葉県0.255
41神奈川県0.219
42滋賀県0.184
43沖縄県0.125
44埼玉県0.103
45愛知県0.103
46大阪府0.1
47東京都0.098

ついでに人口一万人あたりの公衆浴場数も出してみた。トップ3はさすが温泉天国の貫禄が出ている感じ。あとのものもパッと頭にいくつか対象の温泉が浮かんでくるようなところばかり。逆に少ないのは、そもそも人口が多い大都市近郊ばかり。神奈川県は温泉の宿泊施設や宿泊客は多いのにこちらでは下位。地域より観光利用の温泉が多いという証だね。

まとめ:

 今回参考にしたのは平成28年度(2016)のデータ。分析というほどのデータではなかったかもしれないけど、統計データを見ているといろんなことが見えてくるので面白い。今回は温泉利用に関するデータだったので、その利用の仕方によって傾向が見えてきたのが興味深かった。他にもいろんなデータを集めて組み合わせてみたりすると、何かまた面白い傾向がでてくるかもしれないので、是非興味を持って分析してみよう。

参考資料:

環境省「温泉に関するデータ」 (https://www.env.go.jp/nature/onsen/data/index.html)

総務省統計局「統計データ」 (http://www.stat.go.jp/index.html)



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