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福島県

かしおんせん・だいこくやりょかん

甲子温泉・大黒屋旅館

子宝の湯として有名な山間の一軒宿
福島県の南部、栃木県との県境に近い山深いところに甲子温泉があります。少し手前の新甲子温泉にはいくつかの旅館やホテルがありますが、こちらは「大黒屋」だけの一軒宿です。緑豊かな秘湯ムード漂う、物静かな温泉宿です。600年以上も前に州安和尚という方が発見した歴史の古い温泉で、発見された年が甲子(きのえね)であったことから、甲子(カッシ)と名づけられたのだそうです。日本秘湯を守る会会員の宿ということで、玄関前には目印の大きな提灯(ちょうちん)がぶらさがっていました。人里離れた場所という感じですが、鄙びた雰囲気というよりは和風の品のある佇まいです。宿泊でゆっくりとしたいところですが、今回は立ち寄りで入浴してきました。この宿には男女別の内湯もあるのですが、なんといっても名物は混浴の大岩風呂です。さっそくその浴場に向かいますが、これがまた玄関からかなり奧へと進んだところにあります。いや、奧というよりも建物を突き抜けて、長くて急な階段を降りていった先、渓流をまたぐ橋を渡った先にあるでした。階段は驚くほど長いので、途中で休憩用の椅子が用意されているほどてした。赤い屋根の浴舎に入ると、女性専用の岩風呂と混浴の大岩風呂があります。大岩風呂は15メートルほどの奥行きがあり、プールみたいに大きな湯舟なので、窮屈なイメージはまったくありません。50人以上は入れる大きさです。また、水深が1.2メートルと深さがあるので、圧迫感を楽しみながらの入浴も変り種ですね。湯舟の中には子宝石というのがあり、そこに座ると子宝に恵まれるとのことでした。脇の鳥居側と湯舟の底から直接湯が湧いているようですが、ちょうどいい温度で、無色透明の綺麗な湯です。浴場の外側には大きな温泉プールがありました。露天風呂があるのなら理解できるのですが、いきなりプールがあるというのも不思議なロケーションです。ちなみに脱衣所は湯舟の前の簡素な衝立越しにある小さなスペースです。男女の区別もないので、女性の方は着替えるときに抵抗を感じるかもしれません。しかしこの荘厳な雰囲気は格別ですし、入ってしまえば広いので、入らないのは損です。あらかじめ簡単に着替えられる服装で行った方がいいでしょう。
掲載: 2000/01/01
Data
  1. 所在地:福島県西白河郡西郷村真船
  2. 入浴 :1999年5月
  3. 源泉名:有限会社元湯甲子温泉2号源泉
  4. 泉質 :単純温泉(低張性弱アルカリ性高温泉)
  5. 泉温 :源泉43.1度
  6. 湧出量:毎分220リットル
  7. 形態 :温泉旅館 混浴・女性専用
  8. 効能 :神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばりなど
  9. 脱衣所:あり(簡素なもの)
  10. 秘湯度:☆☆☆
  11. 素朴度:☆☆☆
  12. 異色度:☆☆☆
  13. 総合評価:☆☆☆