和歌山県
ゆのみねおんせん・つぼゆ
湯の峰温泉・つぼ湯
完全貸切り制の歴史的価値のある小さな温泉
和歌山県田辺市本宮町にある湯の峰温泉は、四村川沿いに小さな旅館の建ち並ぶ、温泉情緒漂う素朴な温泉地です。温泉の歴史はとても古いようで、伝説によると成務天皇の代(四世紀半ば頃)に熊野を治めていた大阿刀足尼という方が発見したそうです。とても静かな温泉地ですが名湯として知られ、またその素朴さがウケているのか非常に人気の高い観光温泉地です。その温泉街の中心、共同浴場の少し上流、つぼ湯橋のたもとに「つぼ湯」という名物の小さな浴場があります。いや、小さな浴場と呼んでいいのか、とにかくお風呂があります。1日に7回色を変えるという不思議な湯舟ということで、さっそく訪れてみました。非常に人気が高く、待ち時間がけっこうあるということですが、早朝から営業しているということで、朝も早くから出かけてみました。それでも先客がいるとのことで15分ほど待つことに。そうなんです、ここは完全な貸切制になっているので、先客がいる場合は待たなければならないのです。それにしても外観はかなりヤバイです。掘っ立て小屋というか、非常に粗末な木造の建物で、屋根の苔の生え方なんか情緒たっぷりです。入る前から期待しちゃいます。中に入ると内側から鍵をかけて入浴するのですが、狭い脱衣所に小さな湯舟がひとつだけ。いや、湯舟というより巨石に穴があいていて、お湯が溜まっているって感じです。しかもこのときは綺麗な青白い色をした湯で、とても神秘的な色をしています。さっそく入ろうとするが、これがまたとんでもなく熱いです。すぐ脇にレバーがあり、それで水を注いで調整するようです。湯舟は大人がひとりで丁度いいぐらいの大きさで、わりと深めです。そこの方には砂利があるのですが、どうやらそこから湯が湧いているようです。しばらくするとどんどん熱くなってきます。しかしなんでしょう、この狭苦しいのに満足感たっぷりの居心地は。まったく窮屈な感じはせず、とても大らかな気分になるくらい気持ちのいい湯でした。ちなみにこのつぼ湯には物語りがあり、かつて盗賊に毒を盛られ、全身麻痺という不治の病に倒れた小栗判官が「熊野の湯に入れば治る」と夢で教えられ、酒場の遊女、照手に世話されながら温泉に辿り着き、「つぼ湯」で湯治に励むと不思議なことに全快したと伝えられているそうな。今でも周辺には小栗判官ゆかりのものが残っているとのことで、観光スポットとして巡ってみるのも面白そうです。時間が決まっているので長湯はできませんが、とっても感動の湯でした。
掲載: 2000/01/01
Data
- 所在地:和歌山県東牟婁郡本宮町湯峰
- 入浴 :1999年8月
- 泉質 :含重曹硫化水素泉
- 泉温 :源泉90度
- 形態 :公衆浴場 混浴(貸切)
- 効能 :リウマチ・神経痛・皮膚病・婦人病など
- 脱衣所:あり(簡素なもの)
- 開放度:☆☆☆
- 秘湯度:☆☆☆
- 異色度:☆☆☆☆
- 人気度:☆☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆☆
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