埼玉県
ひゃっけつおんせん・はるな
百穴温泉・春奈
タイムスリップしたような不思議な雰囲気の温泉宿
昭和43年に埼玉県内温泉第1号として誕生した百穴温泉は、割と知られていない穴場的存在ではないでしょうか。今まで、自宅からそんなに遠いわけでもないのに、まわりの友人もその存在を知っているのは少なかったし、自分自身もそれが本物の温泉だなんて知ったのは、そんなに昔のことでもありませんでした。クルマの免許をとったばかりの頃は、友人とよくその周辺もドライブにでかけたことがあり、「百穴温泉入口」の看板は見かけたことがありました。それでも、そこに本当に温泉があるのか信じられないでいたこともあり、長年、訪れることはありませんでした。ところが、全国の温泉案内などのガイドブックには、隅っこながらも埼玉県で最初の温泉との紹介がなされて、しかもジャングル風呂という怪しさ抜群の温泉があるとのことなので、興味がわいて訪れてみることにしました。この温泉の近くには吉見百穴と呼ばれるちょっとした古代遺跡があり、温泉の名前はそこからきているようです。吉見百穴の脇の市野川の土手に百穴温泉のゲートがあるので、そこから温泉を目指して土手沿いを進みます。土手をしばらく進むとなんとも怪しい雰囲気の百穴温泉「春奈」が見えてきました。ここは日帰り入浴も行っている温泉旅館のようです。温泉旅館といっても、旅館としての営業よりも入浴が中心になっているような気配がありました。中に入るとちょっとした片田舎の旅館という雰囲気です。けっして新しくもなく、古いというか鄙びというか、古めかしさを感じる佇まいで、どこか東北の古い鉱泉宿を彷彿させます。料金を払って廊下を進んでいくと、混浴の半露天風呂と女性専用浴場がありました。埼玉の片田舎とはいえ、混浴の温泉浴場があるとはとても驚きです。さっそく浴場に入ります。半露天風呂とはいえ、しっかりと屋根がついています。しかしながら、ジャングル風呂との表現が似つかわしい怪しさ満点の浴場です。また、冬場だったこともあるでしょうが、浴室内は蒸していて、湯けむりで霞むほどでした。それなりにスペースがあるので、そんなに混雑していなければ、女性も気楽に入れるかもしれません。天井は開閉式との噂があったのですが、私が行ったときには閉まっていたのでよくわかりません。でも、半透明の屋根なので昼間は明るくて、本当に露天風呂のような雰囲気がありました。お湯は微濁していましたが、さらさらとしてとくに気になる印象はありません。メタホウ酸泉ということで、目にいい温泉だということでした。目にいいといっても、湯舟に目を入れるのも抵抗があるので、どのように目にいいかは不明です。それにしてもこの怪しい雰囲気は格別です。何が怪しいかというと、すぐ脇にガラス窓があるのですが、そこが白いスプレーで乱暴に目隠しされているのです。フィルムを貼るとかもっと透明度の低い曇りガラスにするとか方法はあるのに、このいい加減さが面白いです。そしてそのガラス窓の奥が女湯のようです。女性はその隣にある扉から女湯と混浴を行き来できるようでした。ちなみに女性用には小さな露天風呂もあるそうです。男湯はここしかないのですが、湯舟が高い位置にもあったりと、遊び心もある浴室なので十分楽しめます。妙な雰囲気があり、秘湯という表現も合うような温泉です。あまり期待しないで訪れるのが得策でしょう。追伸:訪れた当初は寂れた雰囲気が怪しいだけでしたが、その後、露出や変態行為を目的とした方々が頻繁に出入するようになったとの噂を聞きました。訪れる際には事前に下調べをすることをお薦めします。
掲載: 2000/05/19
Data
- 所在地:埼玉県比企郡吉見町北吉見
- 入浴 :2000年1月
- 泉質 :メタホウ酸泉
- 泉温 :源泉9.1度
- 湧出量:毎分26.5リットル
- PH :5.2
- 形態 :温泉旅館 混浴・女性専用
- 効能 :神経痛・眼病など
- 露天風呂:あり
- 脱衣所:あり(女性専用あり)
- 開放度:☆☆☆☆
- 清潔度:☆
- 穴場度:☆☆☆
- 鄙び度:☆☆☆
- 秘湯度:☆☆☆
- 異色度:☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆
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