福島県
いいざかおんせん・きりゆ
飯坂温泉・切湯
切り傷によく効くという歴史ある温泉
飯坂温泉は福島市の北西、古くから名湯として知られる老舗の温泉地です。日本武尊が東征したときにも立ち寄ったとされ、開湯の起源がわからないほど古いようです。交通の便の良さから日本の高度成長期に大きく発展し、歓楽地として人気があったそうですが、バブル崩壊とともに衰退し、今では静かで落ち着いた雰囲気の温泉地となっています。今回は夏休み前に休みが取れたので東北の温泉を巡ろうと飯坂温泉に立ち寄ってみました。飯坂温泉に来るのは久しぶりで、また共同湯めぐりを楽しめると思うとテンションがあがります。今回は昔ながらの雰囲気を残した切湯に行ってみます。摺上川沿いにポツンとさりげなくある小さな公衆浴場です。飯坂温泉駅からだと、十綱橋を渡り、国道沿いに200メートルぐらい歩くと川沿いに「切湯」と書かれた看板があります。寛永元(1624)年に発見されたという老舗の温泉のようです。ところが、その看板のところには何もありません。両脇に建物はあるのですが、ここだけぽっかりと空いているのです。廃業してなくなったのかと思われるようなシチュエーションですが、実はここから階段を降りていき、隣の旅館の地下にもぐりこむように行くと浴場があるのです。けっこう奇抜な雰囲気の場所です。階段を降りる途中に料金の受付があります。そこを過ぎてどんどん階段を下りて行くと、何だか古臭い、怪しい雰囲気になってきます。ここに来るのは何年振りでしょうか、おそらく20年くらい前に来たのだと思うのですが、そのときとまったく変わりがありません。そのときでさえ、古臭くて不気味だなぁと思ったぐらいです。昭和40年に改修とあるのでこの時点で50年以上の歴史があるわけですね。地下のスペースに入ると男女の浴場入口があり、奥には湯の守り神でしょうか、お地蔵さんが祀られていました。扉を開けるとすぐに脱衣所ですが、かなり狭いです。簡素な棚と、無料のロッカーも用意されていました。扇風機もあります。浴室もまた小ぢんまりとして質素なものです。2メートルよりちょっと小さいぐらいの湯舟がひとつ。奥に洗い場のようなスペースはありますが、湯水のカランはありません。湯舟から直接湯を汲み取って利用するシステムのようです。横にはボイラーでもあるのでしょうか、妙なでっぱりというか浴室を圧迫するような狭さがあり、奥にそれを回り込むようなスペースがありますが、そこには何もありません。湯はトロトロと熱くて無色透明の湯が注がれ続けていて、そのまま溢れて流れ出ています。完全な掛け流しですね。飯坂温泉は熱い湯の街、ということで湯舟の湯もかなり熱いです。ちょうど先客が出て行ったばかりだったので、湯舟の温度は44度くらいでしたが、注がれる湯は60度以上あったので、みるみるうちに温度があがっていきます。最初はこの痺れるような熱さが気持ちよかったのですが、温度があがりすぎてしまったので、壁に立てかけてあるパイプを利用して注がれる湯を外に出しました。脇には水道もあるので、温度調節は可能です。それにしてもさっぱりとした熱さでとても気持ちがいいです。何もない質素なところだからこそ、純粋にお湯の楽しめます。ちなみに川沿いにあるので、窓の隙間から外を覗くと川が見えます。開放的な感じではないので湯舟から景色を楽しむようなことはできませんが、火照った体を冷ましながら外を眺めてみました。しっかりと汗がひいてから外に出たので、とてもさっぱりと気持ちが良かったです。
掲載: 2019/06/02
Data
- 所在地:福島県福島市飯坂町湯野切湯ノ上
- 源泉名:若竹分湯槽(8源泉の混合泉)
- 入浴 :2018年7月
- 泉質 :単純温泉
- 泉温 :源泉60.2度
- PH :8.7
- 蒸発残留物:755.0mg/kg
- 形態 :公衆浴場 男女別
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆
- 清潔度:☆☆
- 気軽度:☆☆☆
- 地元度:☆☆☆☆☆
- 鄙び度:☆☆☆☆
- 異色度:☆☆☆
- レトロ度:☆☆☆☆
- 景色 :☆☆
- 総合評価:☆☆☆
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