宮崎県
あばがひらおんせん
阿母ヶ平温泉
昭和初期の風景が楽しめる素朴な共同浴場
小林市の郊外にある阿母ヶ平温泉はタイムスリップが自慢の?!温泉地であり、とてもいい感じに鄙びた宿と共同浴場があります。高原インターからクルマで10分ほどのところにあり、市街地からはそれほど離れてもいないのに国道から脇道へ入ると雰囲気が一気に変わってきます。間もなく辿りつくと「あっ」と驚くような鄙びた光景に出会えました。私のクルマはタイムマシンとなって昭和30年代にやってきているのです。この感動は実際に行ってみないことにはわからないと思いますが、色あせた看板や電柱、電線、宿の客間、壁、屋根と、言葉では表現しにくいような哀愁漂う鄙びを感じます。共同浴場を利用するには、まず浴場の手前の事務所(?)で料金を払います。アルミの扉を開けて脱衣所に入ると、質素な木の棚が男女間の壁になっていて、床には人工芝マットがひかれただけの飾り気のないものです。いや、飾り気がないのは訂正。地元の商店のカレンダーやらチラシの類がちらほら貼られていてローカルな雰囲気はバッチリです。そんな張り紙の中には昭和34年と書かれた試験成績書(温泉分析表)のコピーもありました。浴室はこじんまりとしていて少々狭い感じがします。浴槽の壁側には湯と水のパイプがあり、チョロチョロと水が注がれていました。少々ぬるかったので、コックをひねって湯を注ぐと、ものすごい熱い湯が出てきました。うっかりするとヤケドするので要注意。タイル貼りの四角い湯舟は2つに仕切られた感じになっているけれども、底ではつながっているのでうまい具合に温度格差をつけているようです。湯を注いでいる方の湯舟は一気に熱くなってくるのに対して、もう一方ではジワリジワリと暖かくなってきてぬる目の湯が楽しめるようです。湯は無色透明、無味無臭で、とてもさっぱりとした湯でした。浴室内は狭いわりには天井が高く、換気が効いていてちっとも蒸されないのが気に入りました。隣の女湯とは2メートルちょっとくらいの高さの曇りガラスで仕切られていました。平日の昼下がりだったので、地元のおばちゃん達が会話に花を咲かせて盛り上がっていました。地元の人々の憩の場になる静かな温泉というのは共同浴場の理想だなぁ、と考えさせられる素晴らしい雰囲気を持った温泉でした。
掲載: 2001/06/17
Data
- 所在地:宮崎県小林市堤
- 入浴 :2000年10月
- 泉質 :重炭酸土類泉
- 泉温 :源泉20.3度
- 深度 :1.5メートル
- 地質 :火山灰
- 湧出量:毎分50.0リットル
- PH :6.4
- 形態 :公衆浴場 男女別
- 効能 :(浴用)慢性関節リウマチ・慢性筋肉リウマチ・痛風など
(飲用)痛風・尿酸素質・尿酸結石・慢性腎孟炎など - 露天風呂:なし
- 清潔度:☆☆
- 穴場度:☆☆☆☆
- 鄙び度:☆☆☆☆☆
- 秘湯度:☆☆☆
- 素朴度:☆☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆☆
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