大分県
かべゆおんせん・りょかんふくもとや
壁湯温泉・旅館福元屋
半洞窟になった川べりの自然たっぷり名物風呂
壁湯温泉は享保年間(1716-1736)に地元の猟師が、傷ついた鹿が温泉で傷を癒しているのを発見したことから始まったといわれていて、川を仕切った浴槽の形状から壁湯と呼ばれるようになったそうです。また仙女が入浴し身を清めたという伝説により「仙洞温泉」という別名もあるそうです。そんな幻想的なシチュエーションを楽しめるのが、明治以来続く旅館「福元屋」です。その天然洞窟風呂は宿から少し離れているので、旅館の脱衣カゴをもって玄関の前の道をくだっていきます。湯舟の手前側と奥側に脱衣所があり、手前側にはさらに女性専用の脱衣小屋もありました。脱衣所といっても棚があるだけのとってもシンプルなものです。さてその洞窟露天風呂ですが、壁湯の名にふさわしく大きな崖が迫っているダイナミックな露天風呂です。湯舟は岩の下をコンクリートで囲っただけのシンプルなもので、けっこう広く20人以上は入れる余裕があります。すぐ目の前は小さな川が流れていて、ちょっとした渓谷美を楽しむこともできます。入浴の際にはまず湯舟の下流側で体を流してから中に入るようにします。かなりぬるい湯だけれど、常連の方々は「だから長く浸かれていいんだ」と酒舟を浮かべて呑みながら楽しんでいました。この洞窟露天風呂の面白いところは、木の板を湯舟に浮かべて酒やつまみを上にのっけて宴会ができることなんです。このときも、みんな酒やつまみを持ち寄って軽く一杯という感じで楽しんでいらっしゃいました。アットホームな感じというのか、知らない人だろうが遠慮なし会話に混じっていきます。だけどそれがまた、地方のいろいろな話が聞けて楽しい、まさに醍醐味なんでしょう。でも深酒は禁物、湯舟の底は石がゴロゴロと転がっていたり、デコボコしているので気をつけないと危ないです。この洞窟露天風呂は大きな岩の下をえぐるような感じに窪んでいて、半露天風呂状態です。そしてその奥から湯が湧いているようでした。湯が川へこぼれ落ちるのを見るかぎり、けっこうな量の湯が湧いているのがわかります。お湯は無色透明で無味無臭。ほんと綺麗に透き通った感じがします。とてもさっぱりとした湯で、しばらくすると体中にいっぱい気泡がまとわりついてきます。体の泡をぬぐうように手を添えると、シュワシュワっと湯面ではじける感じがくすぐったいようでたまりません。湯舟の外側、川のほとりにはもうひとつ、小さいながらも露天風呂がありました。こっちはさらにぬるいけれど、川を眺めながら酔いしれられるいいポイントになっていました。
掲載: 2001/10/22
Data
- 所在地:大分県玖珠郡九重町町田
- 入浴 :2000年10月
- 泉質 :単純温泉
- 形態 :温泉旅館 混浴
- 効能 :胃腸病・やけど・皮膚病など
- 露天風呂:あり
- 脱衣所:あり(女性専用あり)
- 開放度:☆☆☆☆
- 気軽度:☆☆☆
- 野趣度:☆☆☆☆
- 秘湯度:☆☆
- 素朴度:☆☆☆
- 異色度:☆☆☆☆
- 景色 :☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆☆
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