大分県
うけのくちおんせん
筌の口温泉
素朴で閑静な温泉地の赤茶色の濃厚なお湯
筌ノ口温泉は、九酔峡にある鳴子川沿いのホントに閑静な温泉です。道も狭いうえに、入り組んでいてなかなかわかりづらいところにあるので、はじめて訪れるときは少々不安になったりもするのではないでしょうか。わりと昔から知られている温泉で、18世紀には湯小屋も建てられ、かつては川端康成も訪れ「波千鳥」を構想したことでも有名なところです。24時間営業の筌ノ口温泉共同浴場は平成5年にリニューアルしたとのことで、比較的新しさを感じる建物です。和風でありながらも大きなガラス窓で明かりを取り入れたとてもしゃれた感じの浴舎で、右側に女湯、左側に男湯への入り口がありました。入り口の前に料金箱があるので、入湯料はそこに入れて利用します。扉をあけて中に入ると、目の前に薬師如来を奉った仏壇があります。室内はお線香の香りが懐かしさを感じさせるように漂っていました。脱衣所は棚がズラリと並んでいたってシンプル。ガラス戸を開けると細長く片方の角を丸くしたような独特の形をした湯舟がドンと真ん中にあります。天井がけっこう高いので実際以上に広々とした印象があります。リニューアルして広くなったという湯舟は10名以上は入れる大きなものです。湯は絵の具を溶かしたような赤茶色の湯で、透明度は10センチもないでしょう。硫黄と炭酸カルシウム、鉄分を多く含むということで鉄分の独特の臭いと酸味のきいた鉄の味がします。飲用すれば胃腸病に効果があるとのことだけど、何となくそんな気にもさせる味ですね。湯温はけっこう熱く感じます。源泉は48.5度もあるとのことだから、そのまま利用しているのかも知れないです。湯の注ぎ口のところでは同時に蛇口から水も足されていました。湧いてくる湯そのものは無色透明の新鮮な温泉でした。見た目でこれだけすごいのだから、成分もかなり濃いのでしょう、湯舟からこぼれおちる道筋には朱色の堆積物で模様ができているほどでした。鍾乳洞というのはこういう風にできていくのだろうなぁと、その堆積具合から連想させられるものがありました。浴室の手前端には違和感を感じるほど家庭的なステンレスのバスタブが置かれ、冷たい水がジャンジャンとかけ流されていました。火照った体に水を浴びせると、これがまたホントに冷たく、すぐに熱い浴槽で体を温めると、手足がジーンとしびれてくる感覚が妙に心地よいです。湯上りは肌がすべすべするので、肌にも良い温泉のようです。素朴ながらも感動できる温泉です。
掲載: 2001/11/05
Data
- 所在地:大分県玖珠郡九重町田野
- 入浴 :2000年10月
- 泉質 :ナトリウム、マグネシウム、カルシウム泉
炭酸水素塩、塩化物、硫酸塩泉 - 泉温 :源泉48.5度
- 形態 :公衆浴場 男女別
- 効能 :神経痛・筋肉痛・冷え性・きりきずなど
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆☆
- 鄙び度:☆
- 秘湯度:☆☆
- 素朴度:☆☆☆☆
- 異色度:☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆
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