青森県
たしろもとゆおんせん・きゅうやまだかん
田代元湯温泉・旧やまだ館
ダムに沈みゆく幻の秘湯
田代元湯温泉は雪中行軍遭難の映画「八甲田山」で有名な温泉で、山のいで湯的存在の一軒宿です。しかし古い地図にはまだその名前はあるのですが、最近の地図には載ってないこともあります。それというのも数年後にはダムの底に沈んでしまうため、現在は廃業してしまっているからです。ですが、コンコンと湧き出る温泉は今もなお健在で、有志の方に支えられて維持されている幻の温泉となっています。もともと静かなところだったということですが、けっこう山深いところにあり森の中を突き進んだところにあります。けっこうこの湯のファンも多いようで、かなり細い山道ですが足跡など人が通った形跡も多く見られました。しばらく歩いて沢に出ると朽ちかけた吊り橋が見えてきます。ちょこちょこ補修されているようですが、よくよく足元を見て渡らないと大変危ない老朽化したつり橋です。吊り橋を歩けばすぐそこに静かに佇む田代元湯があります。建物もまだ存在しますが、かなり荒れてしまっています。湯舟はその周辺にいくつかの露天風呂と、そうとう幽霊屋敷化している内湯があります。露天風呂は石風呂と鶴乃湯と書かれた木の湯舟、その間にはもともと打たせ湯だったらしい浅い湯舟がありました。石風呂の方は吊り橋を眺められる絶好のポイントでとてもいい感じなのですが、温度を計ると53度とめちゃくちゃ熱いので、足のつま先程度しか入れませんでした。手前側の鶴乃湯の方は43度とまぁ快適な温度です。ちょっと汚れているので少し掃除をしてから入ることにしました。浴槽は全体が木造なので苔がびっしりとついてかなりヌルヌルしています。さっと流したあと湯をためると湯量も多いのでけっこうすぐにいっぱいになります。それにしても自然に囲まれて入る無人の湯は気分がいいもんですね。屋根はその骨組みだけ残っていました。湯はほとんど無色透明で、ほんの少ししょっぱいようなそうでもないような微妙な味がありした。そして幽霊屋敷化している内湯はかなり朽ちてはいるけれども2つの湯舟は健在でした。手前側の湯舟は熱く、奥はぬる目の湯でした。浴舎の奥にはもともと男女別の脱衣所だったのでしょうか、小部屋が2つあります。浴室は最初から混浴だったのかな。かなり鄙びてはいるもののとても落ち着いたムードがあります。前々から憧れていた湯だっただけに感動はひとしおでした。是非ともなくならないうちに何度か行きたい温泉です。
掲載: 2002/10/12
Data
- 所在地:青森県青森市駒込
- 入浴 :2001年8月
- 泉質 :含硫化水素芒硝泉
- 泉温 :橋に近い露天 53.4度
鶴乃湯 43.3度
内湯手前 44.2
内湯奥 39.4 - 形態 :元温泉旅館 野湯 混浴
- 露天風呂:あり
- 脱衣所:ないようなもの
- 開放度:☆☆☆☆☆
- 清潔度:
- 気軽度:
- 穴場度:☆☆
- 野趣度:☆☆☆☆☆
- 鄙び度:☆☆☆☆☆
- 秘湯度:☆☆☆☆☆
- 素朴度:☆☆☆☆
- 疲労度:☆☆☆
- 異色度:☆☆☆☆
- 人気度:☆☆☆☆
- 景色 :☆☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆☆☆
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