東京都
こんぱるゆ
金春湯
時代の流れに取り残された下町の温泉銭湯
地下鉄南北線、白金高輪駅出口から徒歩1分のところにある昔ながらの銭湯。国道からもすぐとはいえ路地に一歩入るとまだまだ下町の雰囲気漂う住宅街で、そんな片隅にポツンとある静かな銭湯です。しかし白金というと地下鉄ができてからというものどんどん再開発がされていっているというのに、その中にまるで時代から取り残されたかのように趣のある建物です。男女左右にある入口に木製の下駄箱、しかも木の板のカギをかける懐かしいタイプのものです。中に入ると番台がある典型的な銭湯形式です。脱衣場の棚もすべて木製でカギのかかるものでした。しかもかなり年季が入っているのか木のツヤがなんとも言えません。浴室はこれまた小ぢんまりとしているけれども昔ながらの東京下町の銭湯といった標準タイプで、なんといっても目の前の壁に書かれた大きな富士山が引き立っています。やっぱり銭湯の壁画は富士山が一番ですよね。浴室に入ったすぐ脇には立ちシャワーがあり、一番奥の富士山のふもとには浴槽があり、手前側は洗い場になっています。男女を隔てている壁は高さが190センチほどでしょうか、「お〜い、でるぞぉ」「は〜い」なんていう合図をしている若いカップルもいたりして、すっかりこの雰囲気に魅了されてしまいました。さてさてそんなことだけなら「あ〜懐かしい雰囲気の銭湯だなぁ」というところなんですが、なんとここは温泉なんです。しかも東京名物の黒湯なんです。そしてさらにすごいのは湯舟の湯はもちろんのこと、洗い場で湯を出しても水を出してもシャワーを出してもすべて黒湯が出てくるという贅沢なところです。それもけっこうしっかりとした色がついて濃いんです。透明度は10〜15センチといったところですかね、コーヒーのような色をしていました。それに加えて肌触りがとてもいいんです。ツルツルした浴感で、浴後も肌の質感がスベスベになってしまうんです。こんな素晴らしい湯ならどんどん客が来てもおかしくないように思うのですが、たぶん知られていないのでしょうね、けっこうすいています。湯舟は気泡浴やジェット噴流の設備がついていてわりと熱い湯です。さすが江戸っ子向きですね。ジェット風呂の方は深さがヘソの下ぐらいまであり(私の足が短い?)、わりと深いです。すっかり魅了されずっとこのまま残っていて欲しいところですが、時代の流れには逆らえないようで残念ながら平成14年1月15日をもって廃業になってしまいました。
掲載: 2003/01/20
Data
- 所在地:東京都港区白金
- 入浴 :2002年1月
- 形態 :温泉銭湯 男女別
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆
- 清潔度:☆☆☆
- 気軽度:☆☆☆☆
- 下町度:☆☆☆☆☆
- 鄙び度:☆☆☆☆
- 素朴度:☆☆☆☆☆
- 異色度:☆☆☆
- レトロ度:☆☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆☆
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