東京都

こしのゆ

越の湯

都会の変遷に取り残された温泉銭湯
地下鉄麻布十番駅より徒歩5分ほど、洒落たレストランや飲み屋などが並ぶ通りを進んだところにある温泉銭湯が越乃湯です。越乃湯は通りの角のビルの1階にありますがねそのビルの3階には麻布十番温泉という湯は同じですが別の温泉施設もあるんです。なんだかとても不思議な光景です。すぐ目の前には洒落たフレンチレストランがあり、石畳の車道などトレンディな街を演出しているのに、違和感を覚えるほど地味で昔ながらの銭湯の雰囲気が漂っていました。さらに驚くことにそのフレンチレストランとは同じ経営なんだそうです。入口は木板のカギの下駄箱で、もうすでに情緒が感じられます。中に入ると男湯と女湯の間に番台があるオーソドックスな間取りで、木製のロッカーが並んでいるだけの素朴な雰囲気がありあらためて驚かされます。浴室はタイル張りで洗い場もシンプルで東京系のスタンダード様式です。ビルの1階という立地ですが意外に天井は高く、奧の壁面には大きな絵が描かれていてちっとも窮屈さは感じさせませんでした。客層もほとんど近所の常連さんといった感じのご老人が多く、湯舟に浸かっていると「ここは本当に麻布十番なんだろうか?」と疑ってしまうほどです。湯舟は長方形の浴槽が2つに区切られていて小さい方は底が深い気泡浴付きで、大きい方は半分だけ気泡浴がついているタイプのものでした。湯は江戸っ子好みの熱い湯で、さっきまで先客が加水してうめていたにもかかわらず45度以上もありました。壁には温度計がついていましたが、どうやら壊れているらしく30度ぐらいを指していました。湯は東京名物の真っ黒いコーヒーのような色の黒湯で透明度は15センチほどでした。とてもヌルヌル感を味わえる重曹泉で、蛇口の湯を口に含んでみると、ほんのりと甘味を感じました。砂糖入りの麦茶を薄くしたような味といった印象をうけました。また壁の隅にはこの温泉についての説明書きがあり、それによると500メートルの地下から湧き出る重曹泉で、ヒステリーに効果があるとのことです。言われてみれば熱いのに慣れてくる頃には落ち着いた気分になるような気がします。
掲載: 2003/02/11
Data
  1. 所在地:東京都港区麻布十番
  2. 入浴 :2002年4月
  3. 泉質 :重曹泉
  4. 泉温 :湯舟45.1度
  5. 形態 :温泉銭湯 男女別
  6. 効能 :ヒステリー、神経衰弱、創傷、火傷など
  7. 露天風呂:なし
  8. 開放度:☆
  9. 清潔度:☆☆☆
  10. 気軽度:☆☆☆☆
  11. 下町度:☆☆☆☆☆
  12. 穴場度:☆☆
  13. 鄙び度:☆☆
  14. 素朴度:☆☆☆☆
  15. 総合評価:☆☆☆