大分県
かんのじごく
寒の地獄冷泉
地獄のような冷たさにガクガク震えながら浸かろう
夏季のみ利用できるという寒の地獄は文字通り寒さを味わうという全国的にも珍しい温泉です。寒さを味わうというのはつまりは冷たい鉱泉を沸かさずそのまま入るという方法で真夏でも水温は13度ほどしかありません。13度って大したことない温度のようにも感じますが全身浸かるとほとんど氷水のような感覚です。冷泉は建物の奥の方にあり男女別の脱衣所がありますが浴室は混浴になっています。しかし水着を着用するのがここでのルールになっているので安心して入浴することができます。浴槽は長方形の大きなものが2つあり、透明度の高いきれいな水がものすごい勢いで溢れています。浴室内は線香の香りが漂っていて厳粛な雰囲気がありました。入浴客も温泉客や観光客というよりはむしろ湯治客が中心で、真面目に冷水に浸かっています。冷水は浴槽の底から湧き出ているようで所々モコモコと水面が盛り上がっている所や気泡が出ている所がありました。さっそく足をつっこんでみるとさすがに冷たいです。こりゃ1秒が限界かなと怖気づいてしまいましたが、気合を入れて思い切って全身浸かります。別に眠くはなかったのですが一気に目が覚める思いです。1分も経過すると手足が寒さで痺れてきます。3分なんとか頑張るとだいぶ慣れてきたというか麻痺してくるので楽になりますが、5分過ぎたあたりから全身が震えてきました。水面が波打つぐらい震えるので8分ほど経過した時点であがりました。あがったらすぐに隣のストーブの部屋で凍えた体を温めます。ストーブは部屋の中央にありそれを取り囲むようにしてみんな温まっています。けっこう強力なストーブで凍えた体でさえ熱気を感じます。その小さなストーブの部屋は落書きだらけになっていました。10分入っただの30分入っただの記録更新1時間などと様々な記録が楽しげに書かれていました。凍える体が温まってくると今度は暑くなってきました。もう一度冷水に浸かります。やはり最初の1分間がものすごく辛いです。ほんとに地獄のようです。だいたい5分から8分ぐらいすぎると慣れてくるようです。先ほどはあまり鉱泉を味わう余裕がなかったのですが、よくよく観察してみるとほぼ完全な無色透明で硫黄の香りがプンプン臭います。湯舟から溢れ出た水の水路は湯の華で黄色にそまっています。2つの湯舟の間には湧き出る冷水を飲むことができるようにコップが用意されていました。わりとまろやかな味でした。一度は話のネタにじっくりと入ってみる価値のある温泉だと思いました。
掲載: 2003/07/05
Data
- 所在地:大分県郡玖珠郡九重町飯田高原
- 源泉名:寒の地獄
- 入浴 :2002年9月
- 泉質 :単純硫化水素泉
- 泉温 :源泉13度〜14度
- 湧出量:毎分2,160リットル
- 形態 :温泉旅館 混浴
- 効能 :水虫、田虫、皮膚病、慢性金属中毒症、感冒予防など
- 露天風呂:なし
- 脱衣所:あり(女性専用あり)
- 開放度:☆☆☆
- 清潔度:☆☆☆
- 気軽度:☆☆☆
- 鄙び度:☆☆☆
- 秘湯度:☆☆☆☆
- 異色度:☆☆☆☆☆
- 湯治度:☆☆☆☆☆
- 人気度:☆☆☆☆
- 景色 :☆☆
- 総合評価:☆☆☆☆
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