茨城県
ひたちのゆ
常陸の湯
時間の流れが止まったみたい。常陸の隠れ名湯
常磐自動車道水戸インターチェンジの近く、ゴルフ場の脇にひっそりと隠れるように存在している秘湯が「常陸の湯」です。地図で確認してから訪れたものの近くを何度か通り過ぎても見つかりません。情報が少し古かったのでもしや廃業してしまったのかと一度は諦めかけたけど最後にひとまわりしたところで怪しげな脇道を発見しました。他人の民家だったらどうしよう・・・と恐る恐る近づいていくとあったのでした。通りに看板も無ければ案内もない所なので非常にわかりづらい場所です。宿は目の前に池があり、東屋風の休憩所のようなものまであるけど、かなり鄙びた民家風の建物です。普通の人ならここで怖気づいて帰りたくなってしまうのではないかと思われる程の佇まいでした。そうとう怪しげな場所なのですが、池の前には大きな石碑が建っています。しかも平成六年と書かれた新しいものまであります。石碑によるとかなり歴史的なものであるそうで、源義家が奥州征伐のときに休息した際、水の出そうなところを目掛けて矢を放つとそこから水がコンコンと湧き出て兵士の喉を潤したそうな。そしてその井戸は常陸の湯として有名になったとのことでした。浴室は母屋の手前側池の前にあります。かなり開放的なところで外から脱衣所が丸見えです。食事中のおばあさんに許可を得てさっそく浴室に向かいます。脱衣所は手前と奥の2ヶ所がありますが、どちらがどうと言うこともないらしく、また浴室はひとつしかないので混浴になります。棚があるだけのシンプルな脱衣所を抜けると浴室なのですが、この浴室、外観からはちょっと陰湿な雰囲気なものを想像してしまいがちですが、大理石タイル調の趣のある湯舟が中央にあり、窓や扉が開いているのでオープンなこともあり、大らかで悪い印象はまったくありません。お湯は湯舟に溜まっていますが、けっこう熱めの湯になっています。湯舟の湯は少し濁っているように見えますが、これは単に汚れているだけなのかな?一番風呂ではなかったので実際のところはわかりませんが、湯舟の脇についている蛇口をひねると無色透明の水が出てきました。蛇口の上にはコップが用意されているところを見ると飲用することも可能なようですね。さっそくちょっと飲んでみると、特に変わった臭いや味は感じませんでした。湯舟は2〜3人ほどでいっぱいになってしまう小さなものですが、そう滅多に混み合うこともなさそうですからのんびりと浸かることができます。特に変わった浴感もないのですが、わりとしっとり系の湯で気持ちがいいものです。洗い場は一応あるのですが、シャワーは水をひねってもチョロチョロと申し訳ない程度に出てくるだけというのも、味わいがあって不思議と魅力的です。熱い湯だったせいもあってか、浴後も汗が止まらず暫く周辺を散歩して涼むことにしました。建物の隣には鳥居があって小さな社が奉られていました。その脇にはこの鉱泉の源泉なのでしょうか、丸く囲まれた所からコンコンとクリアな水が湧き出ています。炭酸のような臭いがあり、水路には赤茶色の堆積物がびっしりとついています。手ですくって飲んでみるとけっこうおいしい水でした。
掲載: 2003/12/21
Data
- 所在地:茨城県水戸市加倉井町
- 入浴 :2003年8月
- 泉温 :源泉15.5度
- PH :6.4
- 蒸発残留物:97.5mg/kg
- 形態 :温泉施設 混浴
- 露天風呂:なし
- 脱衣所:あり(脱衣所は2つ)
- 開放度:☆☆☆
- 清潔度:☆
- 気軽度:☆
- 穴場度:☆☆☆☆☆
- 野趣度:☆☆
- 鄙び度:☆☆☆☆☆
- 秘湯度:☆☆☆☆☆
- 素朴度:☆☆☆☆
- 異色度:☆☆☆
- 湯治度:☆☆☆
- 景色 :☆☆
- 総合評価:☆☆☆☆
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