秋田県

いわくらおんせん

岩倉温泉

300年の伝統と静かな時間の流れを楽しむ
秋田県南外村の中心地より少し外れた山の麓にある静かな一軒宿が岩倉温泉です。赤い屋根が人の目をひく洒落た感じの外観で、ロッヂ風にも見えます。ところが中に入ると木造の和風建築で、落ち着いた、それでいて品格のある造りになっていました。岩倉温泉の発見は古く、正保四年(1647年)には既に湧出の記録が残っているのだそうです。大正の初期には「梅の湯」という名で地元でも親しまれていたというのですが、大正三年(1914年)に襲った強首地震の影響によって温泉が出なくなってしまったそうです。その後昭和三十二年(1957年)に再度温泉を掘り当てて営業を再開し現在に至っているとのことです。浴室はフロントから中庭を挟んで反対側にあります。中庭には小さいながらも風情のある池があり、情緒を醸し出していました。脱衣所に入ると、シンプルというか素朴でやや狭くも感じますが、棚、カゴ、洗面台、ドライヤー、扇風機があり、設備は普通に整っています。奥の浴室はこちらもかなりすっきりとしていてタイル張りのシンプルなものです。手前側に洗い場が2つあり、カランにシャワー、そしてボディソープとリンスインシャンプーが備わっていました。男女間の壁ははガラスブロックになっていて、お互いに見えるわけではないけれども気配を感じるので、ちょこっとドキドキしてしまいますね。浴室の半分は湯舟が占めていて、その湯舟はわりと深く股上ぐらいの深さがありました。お湯は無色透明ですが、光加減によるものなのか微妙に青白い気がします。とてもサラサラというか、微妙にツルッとする軟らかい湯で、なかなか気持ちがいいです。男女を仕切る壁側にライオンの頭の形をした湯口があり、その部分だけ壁は途切れています。その途切れた部分には石灯篭のようなオブジェがあり、かなり狭いので覗きこまれたりしない限り、手前側に入っていれば見えることはないようです。以前は脱衣場だけが男女別で浴室は混浴だったそうですが、その名残りのようなものでしょうね。いやらしくない程度に大らかなので、入りづらいということはないと思います。ライオンの湯口の上にはコップも用意してあり、飲用もできるみたいです。しっかりとした塩味はあるもののとてもまろやかでやや後味の悪い苦味も感じました。ライオンの頭は塩分で真っ白になっています。お湯は掛け流されているようで、トロトロと流れ出る湯の音が静かに響いて時計の針のようにゆっくりと時間を刻んでいるようにも感じます。湯舟の奥はガラス窓となっているのですが、目の前の杉林くらいしか見えないので眺めを楽しむといった感じではありませんが、何もない分だけ落ち着いて入れる気がします。宿そのものがけっこう落ち着いた雰囲気があるので、喧騒を忘れさせてしっかりとリラックスさせてもらえそうです。館内では静かにBGMも流れていて洒落た気配りも多く、とても好印象の宿でした。
掲載: 2004/02/29
Data
  1. 所在地:秋田県仙北郡南外村字湯元
  2. 入浴 :2003年8月
  3. 泉質 :含石膏弱食塩泉(緩和性低張高温泉)
  4. 泉温 :源泉60度
  5. 湧出量:毎分700リットル
  6. PH :6.4
  7. 形態 :温泉旅館 男女別
  8. 効能 :リューマチ性疾患、高血圧症、運動器障害、創傷など
  9. 露天風呂:なし
  10. 開放度:☆☆
  11. 清潔度:☆☆☆☆☆
  12. 気軽度:☆☆
  13. 穴場度:☆☆☆
  14. 秘湯度:☆☆☆
  15. 素朴度:☆☆☆
  16. 異色度:☆☆
  17. 景色 :☆
  18. 総合評価:☆☆☆