静岡県
ひらやまおんせん・りゅうせんそう
平山温泉・龍泉荘
素朴ながらもコダワリを持った名湯
平山温泉は静岡市の東部、長尾川沿いの谷間にひっそりと湧く小さな温泉です。静岡の市街地からは竜爪街道(県道201号線)を竜爪山方面に北上した山間の集落にあります。途中から道も細くなりクネクネした竜爪街道を登っていくとやがて左手に「平山温泉」と書かれた大きな石が見えてきます。どっしりとした大きな石の表面には白いペンキで文字が描かれていて、素朴さを感じました。その石には「昭和33年開湯、御殿乳母の湯」とも書かれていました。龍泉荘はこの入口から細く急な坂を下ったところにある小ぢんまりとした温泉宿です。道路側の駐車場にクルマを停めて、徒歩で向かいます、とてもひっそりとした静かな雰囲気で、苔むした道端の石垣が静寂を感じさせてくれています。宿はとても小さく少し古ぼけた民家風のものです。外観だけ見ていると本当に営業しているのか不安になりそうなほど鄙びていますが、日帰り入浴客に人気のようで、常連らしき人々が開店前から並んでいるのには驚きました。個室での休憩も出来るようなのでゆっくりと一日楽しむつもりのようです。玄関には受付があります。受付の上にはおでんなどの一品料理から様々なメニューが貼られているのが目に付きました。常連たちが休憩しながらお腹が空いたら何かを頼むという、とてもアットホームな雰囲気を感じました。浴室は廊下のすぐ前に入口がありました。引き戸を開けると箱型の棚があるだけの簡素で狭い脱衣所です。浴室側はくもりガラスの窓になっています。脱衣所には廊下への入口と浴室への入口がそれぞれ二つずつありましたが混浴というわけではありません。好みの出入り口を利用できるという選択する自由が与えられているだけのようです。浴室はタイル張りのオーソドックスなものでガラス窓に囲まれていて採光豊かで明るいです。湯舟は浴室の中央にあり、三区分されています。その中央に位置する溶岩石の湯口から湯が注がれていました。浴室内はかなり蒸していて、しっかりと感じる硫化水素の臭いが充満しています。湯は無色透明ですが、湯口付近には白い湯の華が付着していて湯舟の湯にもほんの少し湯の華らしきものが舞っているようでした。源泉は16度ほどの冷鉱泉のようで、加熱して利用していますが、42度前後に保たれているのでなかなか気持ちよく利用できます。ふとまわりを見渡すと水道の蛇口がひとつだけあるものの、カランがまったくありません。受付のときにも注意されますが、ここでは石鹸やシャンプーの利用も一切禁止ということで純粋に温泉を楽しむための浴室なのだそうです。常連の方々も皆、とてもマナーが良く、湯舟の湯もまったく汚れていません。湯口の岩の上にはコップがあり飲用もできるようです。さっそく飲んでみるとすごくまろやかで、邪魔になるような味もないので飲みやすいです。
掲載: 2004/11/20
Data
- 所在地:静岡県静岡市平山
- 入浴 :2003年12月
- 泉質 :単純硫黄泉
- 形態 :温泉宿 男女別
- 効能 :慢性関節筋肉リウマチ、神経痛、胃腸病、慢性婦人科疾患など
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆
- 清潔度:☆☆☆
- 気軽度:☆
- 穴場度:☆☆
- 鄙び度:☆☆☆☆
- 秘湯度:☆☆☆☆
- 素朴度:☆☆☆☆
- 湯治度:☆☆☆☆
- 景色 :☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆
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