群馬県
じょうふのたきのしたのおんせん
常布の滝の下の温泉
滝に隠れた超ワイルドな秘湯
日本の滝百選にも登録されている「常布の滝」は草津の奥にある落差80メートルの大きな滝です。この滝は登山道から遠くに眺めることはできますが、実際に滝壺に向かうには上級コースの登山道に入らなければならないのでなかなか見に行くこともできません。しかしこの滝の少し下流に小さな(小さいといっても6〜7メートルぐらいはある)滝があるのですが、その滝の真横に半洞窟になった露天風呂があって、人知れず湯がコンコンと湧き出ているという話を聞いたものだから、頑張って行くことにしました。草津の温泉街を抜けたところから徒歩で行かなければならないのですが、はじめは歩きやすい道で40〜50分ほどハイキングをします。滝の展望台を過ぎたあたりから道は厳しくなって普段の運動不足が祟ります。辿り着く頃にはヘトヘトになっていました。まずは常布の滝を見て元気になります。それにしても近くで見ると超迫力があって凄いですね。なるほど百選にノミネートされるだけの実力があります。さて目的の温泉はこの滝の下流にあります。この小さい滝もなかなか迫力もあってダイナミックでかっこいい滝です。地図にも名前はないのですが、名無しの滝だとしたらもったいない気がします。その滝がゴーゴーと流れ落ちる真横にぽっかり空いた窪みがあり、その奥から本当に湯が湧いていました。一見するとそこに温泉が湧いているとはまったくわからないものだから、なおさら感動です。一番最初の写真の左側で流れている部分が温泉の洞窟です。一番最後の写真は堰き止めた後で、ぽっかりと三角に穴が開いているのがわかると思います。さっそく入ろうと思ったのですが、この窪みの入口も滝になっていて近づくことができません。それどころか冷たい滝の水が湯舟にドカドカ入っていて、とても入浴なんかできません。いつもはそんなことはないようですが、嵐の影響により完全に土砂に埋もれている感じです。まずはその滝の上にあがり、温泉の真上に水が流れないように堰き止める作業から始めました。これもけっこう大変だったのですが、何とか雨降り程度にまで軽減できました。続いては完全に埋もれてしまっている土砂を取り除く作業です。これがまた始めてみるととんでもない作業だということに気づき断念しようかとも思いましたが、ここまで来たのだから全身で温泉を味わいたいという一心で掘り続けました。まさかこんなことになろうとは想像していなかったので、スコップなどありません。素手で石や砂利を退けていくという気の遠くなる作業の繰り返しです。腰が浸かる程度になるまでに1時間、人間が横たわってやっと入れる程度の穴を掘るのに2時間もかかってしまいました。湯は奥の朽ち果てた木造の湯口からけっこう大量に注がれています。ほとんど無色透明の湯でしたが、空気に触れたことによる影響なのか湯舟では白濁して透明度は15センチほどになっていました。お湯は口に含むと少々鉄臭い味がありました。温度はこれまた41度となかなか適温なんです。堰き止めた滝の水が真上からビチャビチャと降り注いでいますが、雨の中の露天風呂だと思えば大したことではないでしょう。湯舟の岩肌は苔むしていたり、また温泉の成分で赤茶色に染まっていたりと、ワイルドながらもしっかりと温泉しちゃってます。豪快に滝が流れるその真横の洞窟にお湯が湧いているなんてロケーションはかなり珍しいのではないかと思います。かなり大変な作業になりましたが、とにかく感動の連続の温泉なのでした。
掲載: 2006/02/05
Data
- 所在地:群馬県吾妻郡草津町
- 入浴 :2004年7月
- 泉質 :単純硫黄泉
- 泉温 :源泉41度
- 形態 :野湯 混浴
- 脱衣所:なし
- 開放度:☆☆☆☆
- 清潔度:
- 気軽度:
- 穴場度:☆☆☆☆☆
- 野趣度:☆☆☆☆☆
- 秘湯度:☆☆☆☆☆
- 疲労度:☆☆☆☆☆
- 異色度:☆☆☆☆☆
- 景色 :☆☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆☆☆
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