東京都
ますのゆ
益の湯
富士山のタイル画が素晴らしい
東急池上線久が原駅のほんとすぐ目の前、改札を出て斜めに徒歩30秒という駅前温泉が、「益の湯」です。しかもこの徒歩30秒というのは大袈裟でも何でもなく、本当に改札の斜め正面にあるのです。店舗の入る白いビルの1階にありますが、いたって普通の温泉銭湯です。看板がいくつもあり目立っていますが、玄関は少し奥まった場所にあります。駅前のビルの中ではありますが、入口玄関はちょっと鄙びかけたいい感じになっていました。木札の下足箱があり、自動ドアを入るとソファーとテレビのあるちょいと広めのロビー、そして受付になっています。駅の目の前ということを忘れさせてくれる、ごく普通の銭湯の雰囲気がありました。脱衣所は木造ロッカーが並び、ちょっと天井が低いですが、ビルの中にしてはわりと広い方かもしれません。年季の入った古い体重計や、型落ちの洗濯機、くたびれたマッサージベッドなどが時代を感じさせてくれます。壁には額がいくつも掲げられています。掲げられているのは昭和32年と昭和51年の温泉利用許可証と、温泉分析表でした。また大きなクーラーの上には、埃まみれの木の桶が積まれていました。現在ではプラスチック製の桶が使用されていますが、かつて使われていたものなのでしょうかね。そんなに古い浴場でもなさそうですが、どことなく昭和の終わりの臭いが残っている気がしました。浴室は手前に洗い場が並び、一番奥に湯舟があるタイプです。洗い場は左右両脇と中央にシマが一列ありました。けっこう広々としていて、カランの数も多いので、洗い場が混雑することはあまり無さそうです。湯舟の奥の壁は富士山の描かれたタイル画になっていました。このタイル画は1センチ角ほどの細かなタイルで構成され、タイル画ながらも緻密な絵に感じます。富士山が優雅にそしてシャープに描かれていて色使いも繊細で、とてもかっこいい絵です。浴室はシンプルな造りながらも柱が斜めに走り、モダンなイメージもあります。柱に付いている蛍光灯がスポットライトだったら、そのまま現代でも通用するようにも思われます。湯舟はそれなりに大きく、右半分が黒湯で、左半分が無色透明の白湯が使われていました。白湯の方はジェットバスも2基付いていて、一部には赤い水中ライトで怪しく照らされていました。黒湯は2つに区切られ、左側は50センチほどの深さのバブルバスになっていて、右側は80センチほどの深い湯舟になっていました。透明度は20センチほどで紅茶を煮詰めて濃くしたようなくすんだ焦げ茶色といった感じです。サラサラとしながらも少々ツルツル感のある湯です。口に含むとごくごく微妙に薄い甘い味がありました。バブルバスの方はけっこう適温でしたが、深い方はちょいと熱めです。壁画の脇にはボイラー室のような扉がありましたが、そこには「サウナ室」と書かれていました。料金は別途必要で、腕章を付けて入るとのことです。駅前のとても便利な場所にある銭湯なので、都内の温泉をはしごしてみるのもいいかもしれません。
掲載: 2006/04/16
Data
- 所在地:東京都大田区南久が原
- 入浴 :2006年4月
- 泉質 :重曹泉(アルカリ泉)
- 形態 :温泉銭湯 男女別
- 効能 :ヒステリー、創傷、火傷、慢性皮膚疾患、神経痛など
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆
- 清潔度:☆☆☆
- 気軽度:☆☆☆
- 地元度:☆☆☆☆
- 鄙び度:☆☆
- 素朴度:☆☆☆
- レトロ度:☆☆
- 景色 :☆
- 総合評価:☆☆☆
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