東京都
はすぬまおんせん・だいにひのでゆ
蓮沼温泉・第二日の出湯
真っ黒な黒湯が肌になめらか
「第二日の出湯」は、西蒲田の細い路地が入り組んだ住宅街の中にある素朴な温泉銭湯です。このあたりは一方通行が多く、クルマで行くのはとても辛い場所にありました。駅からも徒歩で6〜7分ほどで辿り着くことができますが、しっかりと地図は用意していないと道に迷うかもしれません。住宅地ということもありとても閑静な地域で、ひっそりと佇むようにありました。飾り気の無いものもの静かな雰囲気ですが、玄関の暖簾には「蓮沼温泉 第二日の出湯」と書かれていて、温泉が使われていることがわかります。下足箱は昔ながらの木札のタイプです。中に入ると正面に受付があり、左右に小さなロビーがありました。特に飾ることのないさっぱりとした雰囲気です。古くからある共同浴場とかだと、ポスターや雑貨などで多少ごちゃごちゃとした雰囲気になりがちですが、とても整然とした印象を受けました。脱衣所は木造の鍵付きロッカーが並び、ちょっと鄙びた感じはあるのにまるで雑多なイメージはなく、素朴でシンプルなスタイルです。年季の入ったイスや貫の目盛りもある古そうな体重計などもあり、どことなくレトロな雰囲気が漂っています。格子天井はとても高く、所々に梅や菖蒲、菊などの花の絵が描かれています。とても品格のある絵で、単なる飾りというより美術品のような高貴な印象を受けました。脱衣所の外側は小さな中庭に池があり、鯉も泳いでいます。その縁側は涼み所になっているで、湯上りに佇んでいると昭和にタイムスリップしたような気分にもなれそうです。浴室は手前に洗い場のシマが並び、奥は男女の浴室にまたがる大きな壁画と、その下は湯舟があります。水色のペンキが塗られた天井は体育館のようにとても高くて大きいです。素朴ながらも東京の銭湯の典型的なスタイルです。壁画は中央に大きな富士山が描かれていて、富士川の渓流が下を流れているパノラマなペンキ絵です。けっこう大きいのでダイナミックさが伝わってきます。湯舟は三つに区切られていて、左端のひとつだけが天然温泉の黒湯が使われ残りは無色透明の白湯でした。右端は気泡浴になり中央はジェットバスになっていました。黒湯はその名の通り本当に真っ黒い湯で、透明度は3〜4センチほどもありません。イカ墨のような黒さですが、とってもさっぱりとしています。湯舟は真っ黒なので底は見えませんが、80センチほどと深いので、注意しましょう。脇のカランをひねると冷たい源泉らしき水が出てきます。おがくずのようなモール臭いがあり、口に含むと微妙に甘いような芳ばしさを感じました。再開発が進み、昔ながらの銭湯が次々と姿を消していく世の中ですが、ここだけは時間が停まっているような感覚さえ感じる温泉銭湯でした。
掲載: 2006/04/22
Data
- 所在地:東京都大田区西蒲田
- 入浴 :2006年4月
- 泉質 :重曹泉(アルカリ性)
- 形態 :温泉銭湯 男女別
- 効能 :創傷、火傷、慢性皮膚病、慢性婦人科疾患など
- 開放度:☆☆
- 清潔度:☆☆☆
- 気軽度:☆☆☆
- 地元度:☆☆☆☆☆
- 鄙び度:☆☆
- 素朴度:☆☆☆
- レトロ度:☆☆☆
- 景色 :☆
- 総合評価:☆☆☆
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