静岡県
よしなおんせん・とうふやりょかん
吉奈温泉・東府屋旅館
創業400年を迎える老舗の温泉旅館
伊豆半島のほぼ中心、伊豆市吉奈にある吉奈温泉は奈良時代の僧、行基が発見したというとても歴史の古い温泉地です。「子宝の湯」として知られ、また徳川家康とも縁があるとても静かな温泉地です。吉奈温泉へは国道414号線から脇道に入って暫く進んだ先にありますが、田んぼと山々だけが続くとてものんびりとした雰囲気で歓楽街的な要素のまったくありません。いくつかの旅館しかない静養向けの温泉地です。今回は東府屋旅館にお邪魔しましたが、この旅館は創業400年を迎える老舗の大きな温泉旅館です。また、志賀直哉氏や阿川弘之氏など、多くの文人にも愛されていた格式のある旅館のようです。東府屋旅館は純和風、民芸調の建物で老舗旅館らしい古風な造りをしています。玄関を入るとまずは太鼓の音で客人を迎えてくれます。風情のある出迎え方ですが、大袈裟すぎてちょっとこっ恥ずかしいです。館内は本館、別館、西館とまるで迷路のように入り組んでいて、そのあちらこちらに浴場があります。男性用は大浴場「せせらぎの湯」と露天風呂「行基の湯」があります。女性用の露天風呂は「河鹿の湯」と「子安の湯」の2つあり、大浴場「滝の湯」があります。そして家族湯として小さな「伴の湯」がありました。その他に客室にも浴室はあります。桧風呂や樽風呂、岩風呂など小さいですが天然温泉を気軽に楽しむことができるようになっていました。まずは玄関ロビーを抜けて右奥にある露天風呂に向かいます。こちらは休憩用の建物がありその右奥が「行基の湯」、左奥が「子安の湯」になっています。行基の湯は旅館の敷地内を貫く吉奈川沿いにあります。川の対岸は客室になっているので残念ながら川べりは目隠し用の塀がありますが、川のせせらぎも聞こえ、広々としているので開放感は抜群です。山側は急な崖になっているので、圧倒される雰囲気もダイナミックでいい感じです。湯舟の一番奥にはドバドバと豪快に流れる打たせ湯もありますが、これはけっこう高温です。一応洗い場もいくつかありましたが、わりと簡素なものでシャワーなどはありませんでした。湯は無色透明、無味無臭でとてもさっぱりとした感じですが、微妙にツルツル感のある柔らかい湯でした。子安の湯は森の影にあり行基の湯に比べてかなり小ぢんまりとしたもののようです。続いて大浴場に向かいます。せせらぎの湯・滝の湯は、本館からは吉奈川を渡り廊下で渡った先の2階にあります。男女ともに内湯のみですが、どちらも広々とした石タイル張りの浴室となっていました。窓も大きく採光豊かでとても明るい雰囲気の内湯です。露天ではないので洗い場もしっかりとしていて、とても清潔的な雰囲気がありました。西館の奥には「河鹿の湯」と「伴の湯」があります。河鹿の湯は女性専用の露天風呂です。本館の女性用の露天が狭いので、こちらにも設けたようです。他の浴室の中でも一番新しいようで、広めの湯舟もとても清潔的な印象です。天井もあり内湯のような造りですが、壁が大きく開放されていて風通しがとても良さそうです。伴の湯は河鹿の湯を小さくしたような雰囲気で家族風呂として利用できます。河鹿の湯は湯舟の縁が木製でしたが、伴の湯では湯舟は縁も底も石製です。のんびりと貸しきって露天風呂を楽しむことができます。一般浴場は豪華ですが、客室の浴場もなかなか捨てがたい存在です。今回は西館の「萩の間」と「藤の間」を利用しましたが、小さいながらもどちらも桧の湯舟で風情がたっぷりです。掛け流しで利用することも可能で滑らかなお湯を贅沢に利用できちゃいます。露天風呂ではありませんでしたが、窓を大きく開けると清々しい山の空気が吹き抜けてとても気持ちが良かったです。旅館は全体的に田舎の静かな雰囲気が漂っていて、腰を落ち着かせてのんびりと滞在したいと感じるのでした。
掲載: 2006/09/09
Data
- 所在地:静岡県伊豆市吉奈
- 源泉名:混合泉(吉奈1号[大湯]、吉奈3号[花沢の湯]、吉奈4号[煤垣湯])
- 入浴 :2006年9月
- 泉質 :アルカリ性単純温泉(低張性・アルカリ性・高温泉)
- 泉温 :混合貯湯槽47.5度
- PH :8.94
- 成分総計:0.599g/kg
- 形態 :温泉旅館 男女別
- 効能 :神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばりなど
- 露天風呂:あり
- 開放度:☆☆☆
- 清潔度:☆☆☆
- 気軽度:☆
- 穴場度:☆☆
- 野趣度:☆☆☆
- 鄙び度:☆
- 秘湯度:☆☆☆
- 優雅度:☆☆☆
- 異色度:☆
- レトロ度:☆☆☆☆
- 景色 :☆☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆
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