鹿児島県
しおびたしおんせん・ふくしのさと
塩浸温泉・福祉の里
坂本龍馬がお龍と訪れた新婚旅行の地
鹿児島空港の北にある塩浸温泉は、山間にある小さな温泉地です。この温泉は古くから知られていて、鶴にまつわる発見の伝説が残っています。その昔、一羽の鶴をしとめた猟師が、その鶴に古い銃痕を発見したそうな。よく見ると近くに温泉が湧き出てて、その鶴が傷を癒しにこの地にいたことを知り、それでは薬効があるものと浴場を作って入浴するようになったのが始まりだそうです。後に戊辰戦争の折に負傷者の湯治を行ったりして一躍有名になったのだとか。また、坂本龍馬が愛妻のお龍と共に、新婚旅行として滞在したことでも有名なのだそうです。しかし現在では地味であまり目立たない温泉地になっていました。「福祉の里」は新川渓谷沿いに建つ、鉄筋の建物です。鉄筋とはいえ、ちょっと古びた雰囲気のある素朴な印象がありました。川の手前側道路に駐車場があり、川に架かる赤い橋を渡って建物に向かいます。建物の前には坂本龍馬とお龍の新婚旅行の碑が建っていました。館内に入るとすぐに受付があります。館内も少し鄙びかけていて、現代風の入浴施設とは異なり少々陰湿な雰囲気がありました。しかし、とても人の良さそうなおばさんに出迎えられ、素朴ながらも田舎の温かさを感じました。浴場は建物の一番奥にあり、広間の脇の廊下をひたすら奥に進んだ先の正面に男湯、その右側に女湯がありました。脱衣所は木製の棚が沢山並んでいます。一角にはコインロッカーも用意されてありました。浴室の扉はアルミサッシですが、けっこうガタが来ているようで、開け閉めがバタバタととてもうるさいです。浴室はシンプルですがそれなりに広く、タイル張りの床の中央に角の丸くなった四角い湯舟がひとつだけあります。壁側には鏡のついた洗い場が5つほどありましたが、蛇口は水道だけのようです。湯舟には手前の湯口から湯が注がれそのまま溢れ出ています。源泉そのままの掛け流しになっているようです。こういった素朴な温泉は、温泉もピュアでいいものですね。注がれる湯はけっこう熱めでほとんど無色透明ですが、湯舟では微妙に緑っぽく濁っています。飲用はできないと脱衣所には書いてありましたが、舐めてみると鉄分の味と炭酸を少し感じました。湯口の脇には水道もあり熱すぎる場合は加水も可能です。湯はどんどん湯舟から溢れて排水溝へと流れていますが、その湯の通り道のタイルは赤茶色と黄銅色に染まっていました。温泉の成分による堆積なのでしょう。ちなみに外から浴舎を見ると廃湯が川へそのまま捨てられているのですが、温泉の成分で川岸に堆積物のドームができていました。とにかくのんびりとした空気が漂っていて、なるほどこれなら湯治するにはもってこいの環境だなぁと感じました。古すぎもせず、真新しさもない微妙な鄙び具合がとても落ち着く感じです。余談ですが河畔にはかつて坂本龍馬が入浴したと伝えられる小さな湯舟が残っています。ワイルドで開放的な雰囲気なのですが、残念ながら現在は見学のみで利用することはできないようです。
掲載: 2006/09/16
Data
- 所在地:鹿児島県霧島市牧園町宿窪田
- 入浴 :2004年12月
- 泉質 :炭酸水素塩泉(低張性、中性、高温泉)
- 泉温 :源泉53.5度
- PH :6.7
- 蒸発残留物:1.448g/kg
- ラドン含有量:1.2(百億分の1キュリー単位)
- 形態 :公共温泉施設 男女別
- 効能 :きりきず、やけど、慢性皮膚病、神経痛、筋肉痛、健康増進など
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆
- 清潔度:☆☆
- 気軽度:☆☆
- 地元度:☆☆☆
- 穴場度:☆☆☆
- 鄙び度:☆☆☆
- 秘湯度:☆☆☆
- 素朴度:☆☆☆☆☆
- 湯治度:☆☆☆
- 景色 :☆☆
- 総合評価:☆☆☆☆
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