鹿児島県
かいがたおんせん・えのしまおんせん
海潟温泉・江之島温泉
隠れるようにひっそりと建つ、地元志向の共同湯
鹿児島県大隈半島の内側、桜島の少し南の方に海潟温泉があります。海潟温泉は、昭和２年にボーリングして開湯したのが始まりだそうですが、いくつかの温泉施設はあるものの温泉街といった雰囲気はなくわりと地味な温泉地です。江之島温泉は、その海潟温泉にある共同浴場です。細い路地の奥に隠れたようにあるので、一般の観光客にはほとんど知られることのないところです。実際に訪れてみると、なるほどなかなか見つかりません。ここぞと見当をつけて切り込んで行ってやっと見つけることができました。初めて行く場合は、巨大な迷路で出口を見つけたときと同じような感動を味わうことができます。そんな地味な温泉施設なのですが、隠れた存在の割には湯の質がいいととても評判のところなのです。国道の方から行くと駐車場がないのですが、一度海岸に出て堤防沿いにクルマを走らせると、数台分の駐車場があります。駐車場からは民家の脇を抜けて浴場へと向かいます。それにしてもこの隠れた存在は怪しさが満点でいいですね。さっそく中に入ると受付には誰もいません。しかし番台にはテレビがつけっぱなしです。料金を置いて入れと書いてあるので置こうとしたら、誰もいないと思っていた番台には大きな猫がいました。しかもちゃんと番をしているんです。その証拠に料金を払うまでこっちをジーッと見てて、払うとどうぞって感じに首を振るんです。そしてまたテレビのドラマに目をやるのでした。ありえないけど、実際にそうなのでした。こちらも見くびられたら負けかなと思ったので片言のニャン語で挨拶をしながら、ごく普通に振舞って脱衣所に入りました。脱衣所はカゴが床に直に積まれただけであとは長椅子があるだけのとても質素なものです。浴室はこれもまたけっこう広めだけど湯舟は中央にドンとひとつだけあります。湯舟は手前と奥とに区切られていて、奥にはパイプの湯口がありけっこう大量に熱めの湯が掛け流されていました。手前側は奥のオーバーフローが入り込むので、少しぬる目になっています。浴室は全体的にとても鄙びているのですが、そんなにボロいといった印象はありません。浴室内には潮の香りが漂っていますが、お湯の臭いを嗅いでみても微妙に硫化水素っぽい臭いがしているだけです。どうやら海辺が近いので潮の香りが漂ってきているだけのようです。湯は無色透明だけどたまに小さくちぎったテッシュのような浮遊物があります。どうやら湯の華のようです。湯を少し舐めてみるとなんとなくゆで卵のような味がしました。また肌に触れるとツルツルとした浴感があり、評判通りなかなか素晴らしい湯です。しかし注がれる湯はとても熱くて、奥の湯舟はちょっと入れないほどでした。常連さんの話によると夏場、台風のときにかなりぬるくなったことがあったそうですが、その後、急に熱くなったとのことです。非常にのんびりとした素朴な共同湯で、湯といい雰囲気といい、とても気に入りました。
掲載: 2006/09/17
Data
- 所在地:鹿児島県垂水市海潟
- 源泉名:(A)１号泉 (B)２号泉
- 入浴 :２００４年１２月
- 泉質 :(A)ナトリウム−塩化物泉 (B)アルカリ性単純温泉
- 泉温 :(A)源泉４４．９度 (B)源泉４７．６度
- ＰＨ :(A)９．１ (B)９．８
- 蒸発残留物:(A)3.344g/kg (B)0.3184g/kg
- 形態 :公衆浴場 男女別
- 効能 :神経痛、筋肉痛、関節痛、運動麻痺、うちみ、健康増進など
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆☆☆
- 清潔度:☆☆
- 気軽度:☆
- 地元度:☆☆☆☆
- 穴場度:☆☆☆☆
- 鄙び度:☆☆☆
- 素朴度:☆☆☆☆
- 異色度:☆☆☆
- 景色 :☆☆
- 総合評価:☆☆☆☆
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