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島根県

ありふくおんせん・ごぜんゆ

有福温泉・御前湯

大正浪漫溢れるレトロな味わい
有福温泉は江津市と浜田市との中間ほどの山間にある小さな温泉地です。山の谷間に寄り添うように建物が並び、小さな温泉街を形成しています。とても小さな温泉地ですが歴史はとても古く、白雉年間(650-655)に法道仙人という天竺(現在のインド)の修行者によって発見されたという由緒正しい温泉なのだそうです。温泉街の奥には薬師堂がありますが、その手前にあるのが共同浴場の御前湯です。温泉街は細い坂道と階段が続く場所なので、クルマで近くまではいけません。温泉利用者のための駐車場が少し離れた場所にあるので、そこから徒歩で向かいます。とても坂の多い温泉街で石段の細い路地が入り組んでいることから、「山陰の伊香保」との異名を持つのだそうです。御前湯も階段を上った先にありました。有福温泉はとても小さな温泉街ですが、三つの共同浴場があり、その中でもここは一風変わったシンボル的な存在の共同浴場です。まずはその外観ですが、白いレンガ調のタイル壁と赤レンガ調の入り口、そして窓や外灯などが西洋風なのです。一見したところ何かの資料館なのかなとも思ってしまう、とても共同浴場とは思えない佇まいです。レトロな大正時代の洋館といった雰囲気でした。扉を開けるて中に入ると正面に番台があります。その番台はまるで駅の改札口か映画館の窓口のようなブースになっています。浴場の入口は左が男湯で右が女湯になっていました。また、奥には家族風呂もあります。脱衣所に入るとゴザタイルの敷かれた広めのスペースで、金属製のロッカーが少し並んでいます。その半分はコイン返却式の鍵付きロッカーになっていました。壁には大きな温泉分析表もあります。曇りガラスの扉を開けると浴場です。浴場は中央に少し細長くなった八角形の湯舟があり、壁側に洗い場が並びます。そして壁には前面と側面に三つずつ西洋風の窓がありました。湯けむり越しに浮かび上がる窓のシルエットがモダンな感じでとても印象的でした。洗い場は左右と奥に少しあるのですが、左右にあるのは水道の蛇口だけです。直接湯舟から湯を汲むか奥の洗い場を利用することになります。湯舟はその真ん中に巨大キノコが皿をかぶったような突起物があり、そこから細長いパイプがニョキッと突き出ていて無色透明の湯が注がれていました。湯舟の湯も無色透明で、微妙にツルッとするような感覚以外は特に目立つ特徴はありません。飲用はできないと分析表にはありますが、掛け流しのようなのでちょっと舐めてみましたが、かすかに甘いような気もしますが、ほとんど無味でした。浴後は2階にある畳の休憩室で寛ぐこともできます。モダンながらも素朴なローカル感のある落ち着いた共同浴場でした。
掲載: 2006/10/22
Data
  1. 所在地:島根県江津市有福温泉町
  2. 入浴 :2004年12月
  3. 泉質 :アルカリ性単純温泉(低張性アルカリ性高温泉)
  4. 泉温 :源泉45.5度
  5. 形態 :公衆浴場 男女別
  6. 効能 :神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺など
  7. 露天風呂:なし
  8. 開放度:☆☆☆
  9. 清潔度:☆☆☆
  10. 気軽度:☆☆☆☆
  11. 素朴度:☆☆☆
  12. 異色度:☆☆☆
  13. 人気度:☆☆☆☆
  14. レトロ度:☆☆☆
  15. 景色 :☆
  16. 総合評価:☆☆☆☆