佐賀県
てらうらおんせん
寺浦温泉
入り江に佇む静かでのんびりとした温泉宿
寺浦温泉は、仮屋湾の最深部、静かな入り江の海沿いに建つ観光ホテルです。観光ホテルといっても小ぢんまりとしていて派手さはなく、鉄筋ながらもポツンと建つ一軒宿です。一見したところ少々鄙びた感じはありますが、けっして幽霊屋敷とかではなく、そのほのぼのとした佇まいが何故か惹かれる感じがあります。地味で素朴なホテルですが、受付の人や廊下ですれ違う従業員もみな対応が良くて、何だか温かさも感じました。このホテルは海沿いの崖に建っていることもあって、ロビーに入るとそこが3階でした。浴場はエレベータで1階へと向かいます。ところがこのエレベータも結構年季が入っていて年代ものです。動くたびにガタン、扉が開くときはガチャと音がするのは、まるで遊園地のアトラクションのひとつのようです。しかしながら、館内の要所要所は綺麗で、維持の努力は伺えます。浴室の暖簾をくぐると小さな脱衣所がありました。ペンキで一色に塗られた壁が素朴でありながらも怪しさを醸し出しています。棚にはカゴが並ぶだけで他には何も無いというとても質素な設備です。温泉分析表が掲げてありましたが、これだけがとても新しくて目立っていました。浴室は内湯のみで露天風呂などはありません。手前と奥に洗い場があり、中央、壁際に大きな湯舟があります。壁には富士山のような山の絵が描かれていました。浴室の奥はガラス窓になっていて海がよく見えます。入り江の静かな海が広がっていて、田舎ののんびりとした風景がそこにはありました。湯舟の湯は無色透明で、壁側にいくつかある細いパイプからぬるい湯が出ています。それから手前の太いパイプのバルブを開けると熱い湯も注がれるようになっていました。湯は源泉が28度と分析表には書かれていたので、沸かして利用しているのだろうけど、湯舟からはどんどん溢れています。どうやら掛け流しで利用されているようでした。これはなんとも贅沢な温泉ですね。しかもこの湯は入ったとたんにヌルッとするほどツルツル感の強い気持ちいい湯です。噂に聞いた通りの良泉で、これは見事です。湯舟はちょっとぬる目だったので、長湯してゆっくりとこのヌルヌルツルツルを味わいました。素朴な施設に良質の温泉、これはかなりいい感じです。脇のパイプのうち一本はかなりぬるいというか冷たいのが出てたのでこれは源泉そのままなのでしょうか?軽く飲んでみましたが、ほとんど味は感じません。ほんの微妙に埃(ほこり)臭いような臭みがありました。良泉には付き物の「常連」の方も多いようで、福岡や山口から通っている方がいました。あまりパッとしない場所だけにけっこう穴場的な存在のようで、しばらくのんびりと利用することができました。ちなみにここは食事処もあって、新鮮で美味しい魚が食べられるということです。
掲載: 2006/11/03
Data
- 所在地:佐賀県東松浦郡肥前町寺浦
- 源泉名:寺浦温泉ホテル源泉
- 入浴 :2005年1月
- 泉質 :ナトリウム-炭酸水素塩泉(低張性アルカリ性低温泉)
- 泉温 :源泉28.2度
- 湧出量:毎分100リットル
- PH :8.80
- 蒸発残留物:0.673g/kg
- 形態 :観光ホテル 男女別
- 効能 :きりきず、やけど、慢性皮膚病、神経痛、筋肉痛など
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆☆
- 清潔度:☆☆
- 気軽度:☆
- 穴場度:☆☆☆☆
- 鄙び度:☆☆☆
- 異色度:☆☆☆
- 景色 :☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆☆
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