静岡県
こんやおんせん・あべのゆりょかん
コンヤ温泉・安倍の湯旅館
安部川の上流、自然に囲まれた眺望自慢の露天風呂
静岡の市街地から延々と山の中に向かい、一時間半ほど走って辿り着く山間に湧く温泉がコンヤ温泉です。途中には、クルマのすれ違いが出来ないほど狭い道があったり、クネクネと先の見えないカーブの道が続いたりと、ものすごい山奥にでも来ているようなムードを醸し出していました。こんな山深い静かなところですが、実は静岡市の一部なんですね。コンヤ温泉は武田の武将の隠し湯として伝えられる源泉をコンヤの里に引いて来た温泉で、昭和43年(1968)に開湯したという比較的新しい温泉地です。温泉街は小さな温泉地で、歓楽街のようなものもない静かな静養向けの立地で、いくつかの温泉宿が点在しています。「安倍之湯旅館」は特に派手な印象もなく落ち着いた雰囲気の宿でした。この宿の自慢は1998年に完成したという庭園露天風呂だそうです。館内はけっして新しくはないけれども、古さも感じられない家庭的な雰囲気がありました。玄関には近所のトラバサミに掛かっていたというアナグマの剥製なども飾ってありました。浴室は1階の左奥にあります。浴室入口前には温泉分析表も掲げられています。引き戸の入口が2つあり、男女別に分かれていますが夜間に交替するので、夜と朝とで両方の浴場を楽しめます。浴場は露天風呂がヒノキ風呂のタイプと岩風呂のタイプになっています。まずは奥の岩風呂タイプの浴場に入りました。脱衣所は狭く、棚にカゴが並び、角に小さな洗面台があるだけのとても質素なものです。内湯はそれほど広くはありませんが、その半分が岩風呂になっていました。洗い場は手前側にありますが、これがけっこう狭いです。しかしながらボディソープとリンスインシャンプーが備え付けてありました。湯舟は角の湯口から無色透明の湯が注がれています。けっこう大量の湯が注がれていますが、湯舟からは少しずつしか溢れていないので、半掛け流しのようです。とってもサラリとした湯ですが、肌に触れるとツルツルとした柔らかい触感に包まれます。温度も適温だったので、ものすごく気持ちがよかったです。露天に出ると少し大きめの岩風呂があり、その奥にサツキなどの庭木が整った庭園がありました。庭園のその奥は新緑が眩しい山も見えて、自然豊かな開放感が楽しめます。露天風呂は内湯よりもややぬる目です。竹筒と木筒から湯が大量に注がれていますが、内湯と同様に溢れる湯量は少なめでした。湯口の脇には細い管からぬるい水も注がれていました。こちらも触ってみるとツルツルとするので、源泉なのでしょうか。少し口に含んでみると、ほとんど無味無臭ですが微妙に甘いような苦いような感覚がありました。それにしてもこの開放感は完璧です。湯舟に浸かりながらも山間を渡る爽やかな風に、心が落ち着きます。もう一方の浴場も内湯の形式はほとんど変わりません。内湯ですが大きな岩で囲った岩風呂で、とてもゆったりとしています。露天風呂は東屋風の屋根がついた長方形のヒノキ風呂で、大人が3〜4名ほどでいっぱいの小さめの湯舟でした。湯舟の側面からは気泡が出ています。湯舟へは黒いホースから源泉と思われるぬるい水がチョロチョロと注がれているだけで、お湯は注がれていません。おそらく湯舟の中で循環加熱をしているのでしょう。他の湯舟と同様に半掛け流し状態になっていると思われるので、湯はわりと新鮮な感じです。こちらの露天も目の前には手入れされた植木が並んでいて、とても自然味豊かです。まさしく都会の喧騒から逃避する、隠れ湯的な雰囲気漂う温泉でした。
掲載: 2006/12/24
Data
- 所在地:静岡県静岡市梅ヶ島
- 入浴 :2005年4月
- 泉質 :単純硫黄温泉
- 泉温 :源泉34.3度
- 湧出量:毎分100リットル
- PH :10
- 形態 :温泉旅館 男女別
- 効能 :美肌、神経痛、痛風、糖尿病、胃腸病、婦人病、脳病、胎毒など
- 露天風呂:あり
- 開放度:☆☆☆☆
- 清潔度:☆☆☆
- 気軽度:☆☆
- 野趣度:☆☆☆
- 秘湯度:☆☆☆
- 景色 :☆☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆☆
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