静岡県
ゆやまおんせん・ゆやまえん
油山温泉・油山苑
のびのびと自然を感じながら寛ぐ露天風呂
油山温泉は静岡市街から30分ほど内陸に入った山の中の静かな温泉です。駿河今川家7代当主である今川氏親(1473-1526)が兵士の湯治場として利用し始め、また氏親の正室、寿桂尼も湯治場として好んで利用したそうで、実に五百年近い歴史のある温泉です。大棚山と竜爪山に挟まれた谷間の秘境で、県道から安倍川を渡り案内に従って進みますが、途中から民家の並ぶ細い路地に入るので少々不安になります。しかし、民家を抜けて行くとやがて温泉の看板と建物が見えてきました。あとで宿の方から聞いたのですが、夜間になると看板も見えにくくなることから、辿り着けずに電話をされる方が多いのだそうです。油山温泉にはいくつかの旅館がありますが、今回は「油山苑」にお邪魔することにします。ここはとても落ち着いた雰囲気の和風旅館で、玄関では鹿の剥製が出迎えてくれていました。館内にはほのかにお香が漂っていて、大人のムードを演出しています。浴室は渡り廊下で結ばれた別棟になっていました。木造の素朴な浴舎で、浴場は男湯、女湯の2つがあり、それぞれに内湯と露天風呂が備わっています。そのときの宿泊状況によってはどちらも貸切で利用できるようになっていました。今回は幸いにも利用客が少なかったので、どちらも貸切で利用できることになりました。まずは右手の男子浴場から入ってみることにします。脱衣所は棚にカゴが並ぶだけのシンプルなもので、洗面台には綿棒やティッシュなども用意されていて清潔的です。浴場はまずは内湯があります。茶色っぽい石タイルの床で、角に湯舟があります。洗い場は広く、シャンプー、コンディショナー、ボディソープなどが用意されていました。湯舟はわりと小ぢんまりとしたようにも感じますが、少し深めでゆったりと入ることができます。源泉は18度の単純硫黄泉なのだそうですが、加熱された湯は無色透明のさらりとした感じの柔らかい湯で、特に臭いや味などは感じませんでした。露天風呂は内湯を取り囲むように外側に逆L字型にありました。裏山と浴舎の間のスペースに露天風呂を無理やり作った感じで、少々狭いような感じもありますが広さは十分にあります。湯は角にある石を組んだ山から注がれていて、けっこう豪快に流れています。湯は循環もされているようですが、湯舟からも溢れ出ているので半掛け流しですかね。消毒臭も感じられないのでとても気持ちよく利用することができます。湯舟に浸かりながら裏山を見上げると杉の木立が楽しめて森林浴をしているような気分にもなれます。立地柄、虫なども多いのですが、かえって自然を満喫しているような気分にもなれます。のんびりとゆっくりと楽しめました。もう一方の女性浴場も基本的には同じ構造です。脱衣所は洗面台が広く、シャワーキャップやブラシなども用意されていて、女性を意識したサービスを心がけているようです。内湯も男性より若干広いような気がしました。自然を感じながらゆっくりと寛げる、安らぎの宿でした。
掲載: 2006/12/24
Data
- 所在地:静岡県静岡市油山
- 入浴 :2005年5月
- 泉質 :単純硫黄泉(弱アルカリ性低張冷鉱泉)
- 泉温 :源泉18度
- 形態 :温泉旅館 男女別
- 効能 :神経痛、筋肉痛、冷え性など
- 露天風呂:あり
- 開放度:☆☆☆
- 清潔度:☆☆☆☆
- 気軽度:☆☆
- 異色度:☆☆
- 景色 :☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆
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