静岡県
くちさかもとおんせん・くちさかもとおんせんよくじょう
口坂本温泉・口坂本温泉浴場
清らかな渓流の沢音と小鳥のさえずり
口坂本温泉は、静岡市街から1時間半ほど安倍川を上り、途中から心もとない山道へと入っていった先にある秘境の温泉です。口坂本温泉までは、所々に集落はあるものの、とにかく延々と山の中を走り続けます。山道とあってクネクネと見通しの悪い細い道を行くので、クルマの運転には気を遣いながら先へと進みます。地域的には静岡市内なのですが、とてもそうとは思えないほど、山の奥へとやってきた気分になります。やがて看板が見えてくると道が分岐して駐車場の入口になりますが、そこには信号機がありました。クルマの行き来が難しいため、信号機で交通を制御しているようです。3分ほど待ったところで信号が青に変わり、細い坂道を下りて駐車場に向かいます。ところが、この駐車場が予想外に広くてびっくりします。先ほどまでの秘境気分が一掃するほど大きな駐車場で、駐車場の奥には立派な建物もあります。てっきり、小さく質素な共同湯だと思っていたので、これは意外でした。駐車している台数もそれなりに多く、けっこう賑わっているようです。建物は入るとすぐに受付がありました。最近料金改定をしたようで、事前に調べておいた価格よりも料金が下がっていたので、何だか得した気分になりました。入ってすぐの左手側には広めの休憩室があり、正面には浴場入口がありました。建物は鉄筋のしっかりしたものですが、昭和52年(1977)開業とあって、少々古びてきた感じもありました。脱衣所に入るとコインロッカーが並びますが、特に温泉情緒のようなものはなく、わりと簡素な雰囲気です。浴場は内湯と露天風呂があり、内湯はわりと広々としたものです。左手側には固形石鹸の用意された洗い場がいくつか並び、奥のガラス窓側に湯舟がありましたが、浴場入口から湯舟までの空間がとても広く、ガランとした殺風景な感じもあります。何だか無駄に広いような気がするのですが、何か意味があるのでしょうかね。天井も高くて狭苦しさもないのですが、浴室の広さと湯舟の大きさとがアンバランスな気がして違和感がありました。それでも湯舟はそれなりに大きく、そこからは無色透明の湯が溢れていました。湯舟の湯は、特に色づいてもいないので見た目にはあまり特色を感じず、あまり何も考えずに湯舟に入ったのですが、次の瞬間とてもびっくりしました。まず、一歩足を踏み入れただけで、肌がツルツルする感触がわかるのです。また、全身浸ってしばらくするとあっという間に体中に気泡がまとわり付いてきました。サラッとした湯なので全身を覆うツルツル感と、気泡によるシュワシュワ感が体中をまとわりついて、薄いシルクの布でもまとっているかのような気分です。なるほど、こんな山奥にも関わらずとても人気があるのはこういうことなのですね。しばし湯の快感を楽しんだあとで、外の露天風呂にいってみました。こちらは庭園のような岩風呂で、奥の隅から湯が注がれています。内湯はややぬる目だったのに対して、露天は少し温度が熱めになっていました。湯の質も内湯の方がツルツル度が高い気がしました。露天は外気に触れるので劣化が早いのですかね。しかし、露天は庭園とその奥に広がる新緑の山々が眺められるので、開放感も加わってとても気分が良かったです。慣れない山道のドライブで疲れた体も、心身ともにリフレッシュできました。浴後は広間で休憩することもできますが、食料の持ち込みが自由ということもあって常連らしき人々でとても賑わっていました。
掲載: 2006/12/24
Data
- 所在地:静岡県静岡市葵区口坂本
- 入浴 :2005年5月
- 泉質 :ナトリウム−炭酸水素塩温泉(低張性・アルカリ性・温泉)
- 泉温 :源泉36.3度
- PH :8.9
- 形態 :公衆浴場 男女別
- 効能 :神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺など
- 露天風呂:あり
- 開放度:☆☆☆
- 清潔度:☆☆☆
- 気軽度:☆☆
- 地元度:☆☆☆
- 鄙び度:☆
- 素朴度:☆☆☆
- 異色度:☆☆
- 人気度:☆☆☆☆
- 景色 :☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆
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