神奈川県
つるまきおんせん・ゆたか
鶴巻温泉・ゆたか
高級感ある佇まいが心を和ませる
鶴巻温泉は神奈川県の中央部、伊勢原市の市境に近い秦野市にある小さな温泉地です。東京からも程近く交通の便も良いことから、東京の奥座敷としての認識もあるようです。また、この温泉はカルシウムの含有量が非常に多く、世界一のカルシウム泉と呼ばれるほどなのだそうです。温泉の歴史はこの界隈では古い方で、明治22年(1889)に井戸水が塩辛く飲用や灌漑用に適さないことから浴用として利用し始めたのが起こりなのだそうです。「ゆたか」は小田急電鉄小田原線鶴巻温泉駅から徒歩で5分ほどのところにある日帰り温泉施設です。北口から駅前の道をまっすぐ西へと進むと、右手に大きな鉄筋の建物が見えてきます。見た目が日帰り温泉施設というよりは旅館のように見えると思ったら、元々は旅館だったのだそうです。館内に入るとロビーとフロントがあり、宿泊施設だった面影がそのまま残っています。受付を済ますと袋が手渡されるので、そこに履物を袋に入れてスリッパに履き替えるシステムです。フロント左脇を奥へと進むと中庭があり、その先に男女別の浴場がありました。中庭は細かな砂利敷きになっていて休憩用のベンチとテーブルが並んでいます。屋外での休憩も気候が良ければなかなか気持ちがいいものです。浴後に一服するのに最適ですね。浴舎に入るとまずは脱衣所があります。基本的に棚とカゴが並んでいるだけですが、一部に金属製のコインロッカーも用意されています。また小さな貴重品ボックスがあり、こちらは無料なので財布や鍵などの小物を預けておきましょう。浴室は内湯と露天風呂があります。内湯は中央手前から奥にかけて細長い湯舟があり、左右の壁側には洗い場が並んでいます。洗い場にはボディソープとリンスインシャンプーが用意され、洗い場の数も沢山あるので多少混雑しても大丈夫でしょう。湯舟は2つに区切られていて奥の小さい方にはジェット噴流が3基ついていました。湯は無色透明で肌が少しキュッとするような湯です。舐めてみるとしょっぱくまたけっこう苦味を感じます。塩分も濃いので、傷口があるとちょっとしみるほどです。内湯にはサウナの設備もありましたが、壊れているのか使用禁止になっていました。浴室の奥の扉を抜けると露天風呂があります。巨石に囲まれた岩風呂ですが、これがまたとても広くて開放感があります。周りには太いヤシの木も立ち並び、奥の湯口は小さな滝状になっているので、とてもワイルドで不思議な風景になっています。南の島の密林にある秘湯と例えたら大袈裟かもしれませんが、そんな印象を受けました。周辺は整備された住宅街になっていて、それほど自然が豊かな場所という雰囲気はないのですが、館内にこれだけ広い露天風呂があるというのはとても意外でした。湯舟はわりと深いようで、所々に岩でつくった腰かけが沈んでいます。開放感があり、雰囲気もとてもいいので、いつまでものんびりとしていたい気分になります。浴後に先ほどの中庭に出てみると、そこには源泉と思われる泉があり、生ぬるい湯がチョロチョロと流れています。こちらは舐めると強烈な苦さを感じました。舌にいつまでも残る苦さで渋いといった感じです。設備面、雰囲気、泉質のいずれにおいても予想外の充実度に、とても満足できました。
掲載: 2007/01/02
Data
- 所在地:神奈川県秦野市鶴巻北
- 源泉名:ゆたか(秦野 第17号)
- 入浴 :2005年5月
- 泉質 :カルシウム・ナトリウム−塩化物泉(アルカリ性等張性温泉)
- 泉温 :源泉37.1度
- PH :9.2
- 蒸発残留物:8.675g/kg
- 形態 :日帰り温泉施設 男女別
- 効能 :きりきず、やけど、慢性皮膚病、虚弱児童、慢性婦人病など
- 露天風呂:あり
- 開放度:☆☆☆
- 清潔度:☆☆☆☆
- 気軽度:☆☆☆
- 野趣度:☆☆
- 異色度:☆☆☆
- 景色 :☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆
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