長野県
いせんじおんせん・おがわのゆ
医泉寺温泉・小川乃湯
地味ながらも穴場の名湯
医泉寺温泉「小川乃湯」は、長野県下伊那郡喬木村の県道251号線沿いにある旅館兼公衆浴場の湯です。役場からは天竜川の支流、小川川沿いに上っていくと、田畑の広がる山間にさりげなくある旅館です。あまり気にしていないとついつい見逃してしまうほど、地味な感じです。旅館ということで通り沿いにも看板はあるのですが、けっこう鄙びの雰囲気も感じます。ところがこの旅館や温泉の歴史は古く、平安時代には霊泉として温泉の存在が知られていたそうですから、老舗の温泉地のようです。天文23年(1553)には武田軍が負傷者の傷を癒したとも伝えられているそうです。旅館は地味ではあるもののわりと大きな建物です。公衆浴場としての入口が旅館部とは別にありますが、従業員の勝手口かと思うような扉だったので、最初はどこから入っていいのか躊躇してしまいました。怪しいなと思いつつ近づいてみると、扉に貼り紙(料金等)があるので、ここが入口だとわかりました。館内に入ると右手側は旅館とつながっていました。廊下には受付があり、奥へと進むと浴室入口があります。脱衣所は鍵つきの木製ロッカーと棚が並んでいる、とてもシンプルなものですがわりと広めです。脱衣所と浴室との間には小さな中庭もありました。さっそく浴室に入ると、手前側には照明がないのか、これがまたやけに暗いのです。何だか陰気臭いなぁと思っていると、入ってすぐのところに「元湯」と書かれた小さな湯舟がありました。暗くて地味なようですが、そのまま奥に進むと急に広くなっていて、湯舟がいくつか並んだスペースがありました。また窓から射し込む光で、とても明るかったです。タイル張りの浴室には寝湯、座り湯、バイブラバス、全身浴などがあり、古そうな施設のわりにはスーパー銭湯並みに充実した施設となっています。打たせ湯と書かれた場所もありましたが、このときは稼動していませんでした。またスチームサウナもあったようですが、こちらは故障中の貼り紙がしてあります。洗い場は浴室内に点在していて、いくつもあります。リンスインシャンプーと、ボディソープが用意されていました。格安の料金で利用できるのに、ここまでサービスされるとなかなか嬉しいものですね。湯は無色透明で、ほとんど臭いは感じませんでしたが、湯舟に浸かるとちょっとツルツル感があるようです。脱衣所の分析表によると10.2というアルカリ性の湯でした。ちなみにカランの水や湯もツルツルするので源泉を使用しているようです。カランの水をちょっと舐めてみたけれど、ほんの微妙に甘いというか硫黄っぽさを感じました。設備はちょっと古く感じましたが種類も豊富で料金も安く、雰囲気も悪くないので、とても好印象でした。宿泊のみならず公衆浴場として気軽に利用できる営業形態をとりながらも、とても地味であったこと、そして一般観光客らしき人もいなく、先客も一人しかいなかったことから、わりと穴場的な存在なのかもしれません。旅館の方は、鯉や山菜、きのこなど、信州の素朴な味を楽しめるそうです。また、観光のみならず、湯治や合宿などの利用にも適しているそうです。
掲載: 2007/01/28
Data
- 所在地:長野県下伊那郡喬木村
- 入浴 :2005年7月
- 泉質 :温泉法第2条に規定する温泉
- 泉温 :源泉17.7度
- PH :10.2
- 蒸発残留物:209mg/kg
- 形態 :旅館兼公衆浴場 男女別
- 効能 :胃腸病・皮膚病・神経痛・切傷など
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆☆
- 清潔度:☆☆☆
- 気軽度:☆☆
- 地元度:☆☆☆
- 穴場度:☆☆☆☆
- 鄙び度:☆☆☆
- 異色度:☆☆☆
- 景色 :☆
- 総合評価:☆☆☆
温泉レポートを検索