長野県
ひさかたおんせん・たからゆ
久堅温泉・宝乃湯
歴史のロマンを感じる粋な温泉宿
久堅温泉「宝乃湯」は、長野県飯田市、天竜川の近くにある和風旅館です。明治七年(1874)創業という老舗の温泉旅館ですが、もともとは寺小屋だったそうで、廃止された際に庄屋屋敷を木賃宿として開業したのが始まりだそうです。ちなみに、名称の「宝」とはその屋号と周辺の地名だそうで、戦国時代の諏訪氏埋蔵金の伝説に由来するんだとか。何とも夢のあるネーミングですね。宿は天竜川に架かる水神橋から400メートルほど東に向かったところにあるのですが、ちょっとわかりづらいところです。幹線道路から山道に入ってすぐの、ラブホテルの脇を入っていきます。その道は上り坂ですが途中にある急な下り坂に入っていくと駐車場の先に宿が見えてきます。あまり目立たない地味な場所にあるので、とても鄙びた宿を想像していたのですが、小さいながらもこざっぱりして、ちっとも鄙びてはいませんでした。玄関前には創業百年碑なども建てられていて、それなりに歴史の感じる佇まいです。宿の玄関は2ヶ所にわかれていて、片方には大きな暖簾が下がっていました。この宿は日帰り入浴も積極的に受け付けているのですが、どうやらそちらは日帰り入浴の為の専用の入口のようです。日帰り入浴用の玄関から中に入るとすぐ下駄箱があるのですが、その奥は旅館部と同じロビーになっていました。受付で料金を払って浴室に向かいます。浴室は暖簾側入口の正面にあり、右側が男湯、左側奥が女湯になっていました。脱衣所は小ぢんまりとした素朴なもので、鍵のかかる木製ロッカーが並んでいます。洗面台や扇風機、体重計などはありますが、田舎の小さな共同浴場のような雰囲気で、旅館の浴場という感じてはありません。浴室はこちらも小さなタイプのもので、扇形をした湯舟がひとつと石鹸の用意された洗い場が6つほどありました。窓もあり、外の光が射しこんで室内はとても明るいのですが、窓の外にはすぐ建物が建っているので、残念ながら景色はまったく見えません。小ぢんまりとした湯舟は大人が4名も入ればいっぱいの大きさです。とてもシンプルな浴室だけど、入口脇には観葉植物(幸福の木)などもあり、殺風景というわけではありません。湯は無色透明の湯でけっこう豪快に注がれていますが、循環式のようです。浴室内で湯の流れる音だけが木霊し、そのままBGMになっていました。水音ってうるさいようでもあるけど、何故か落ち着きますよね。湯舟の湯は沸かし湯ですが、けっこう熱めに設定されているようで、このときは44.4度もありました。少し入っているだけで汗が噴き出すほどです。脱衣所に源泉の説明がありそれによるとカランの湯水も源泉を使用とのことでした。飲用不適ということで、飲泉は控えて少し舐めて味見をする程度にしましたが、サッパリとしたほろ苦さを微妙に感じる程度で、ほとんど無味無臭でした。ちなみに温泉法の規定に達していないので、温泉ではないそうです。しかしながら、温熱効果なのか、熱い湯だったこともあってかわかりませんが、浴後は汗が止まらず、扇風機がとても役立ちました。風呂上りの扇風機ほど気持ちのいいものはないですよね。
掲載: 2007/01/28
Data
- 所在地:長野県飯田市下久堅下虎岩
- 入浴 :2005年7月
- 泉質 :弱アルカリ性炭酸水素ナトリウム塩泉
- 泉温 :源泉20度
- PH :9.1
- 形態 :旅館兼公衆浴場 男女別
- 効能 :神経痛・リューマチ・胃腸病・肌荒れなど
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆
- 清潔度:☆☆☆
- 気軽度:☆☆
- 地元度:☆☆☆
- 穴場度:☆☆☆
- 素朴度:☆☆☆☆
- 景色 :☆
- 総合評価:☆☆
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