栃木県
こたきこうせん
小滝鉱泉
明治25年創業、谷底に佇む静かな一軒宿
小滝鉱泉は栃木県矢板市、県民の森近くの山の中にある鉱泉宿です。矢板インターから国道、県道と入り、しばらく進んで山道に入ります。県道から山道に入る入口には、宿の看板もあるのでそれを目印にします。看板には「うどん、そば」など食事もできる旨が書いてあるのですが、こんな山道の先に食事などできる宿が本当にあるのかと笑ってしまうような雰囲気です。その山道に入るとすぐに未舗装になり、徐々に勾配が激しくなってきます。道を間違えたかと思うほどですが、他にそれらしき道もないですし、この道で間違いがない筈。ところどころ普通の乗用車では底を擦ってしまうところもあり、思わず冗談だろと心の中で叫んでしまいました。道の危険な場所はところどころにあるので、あまりクルマの運転に慣れていない人は諦めた方がいいかもしれません。わずか1キロちょっとしかありませんが、悪戦苦闘の末、何とか谷の底までやってくると建物が見えてきました。ところがこれが自分の目を疑ってしまうような新しくて綺麗な建物なのです。秘境の鉱泉宿というと鄙びたボロい宿を想像しがちですが、まるで新興住宅地に建つごく普通の民家なのです。明治25年(1892)創業ということで老舗の鉱泉宿ですが、平成11年(1999)に改装して建替えられたばかりのようです。それにしても、目の前には渓流(中川)が流れ、鮮やかな緑に囲まれていて、建物とのコントラストがとても異様でした。また対岸の崖には小さな滝がありました。矢板市の水辺景観10選のひとつ「小滝」だそうで、この鉱泉宿の名前にもなっているものです。白ヘビが崖を登っていくような細い滝でした。宿は日帰りの入浴も受付ていて、ハイキング帰りにも立ち寄れるようです。館内はまさしく新しい普通の民家といった感じで、とても山の中にいるとは思えません。秘湯でありながらも快適に過ごせそうです。浴室は男女別の内湯がありました。脱衣所には棚にカゴが並び、小さな洗面台があります。ドライヤーなども完備してありました。内湯はわりと広めで、窓が大きいのでとても明るい印象を受けました。洗い場はシャワー付きで3つ並んでいます。ボディソープなども用意されていました。湯舟も大きめのものですが、沸かし湯なので利用する時以外はふたがしてあるようです。開けてみると石材の湯舟に少々白濁した湯がありました。湯は注がれることも溢れることもなく、湯舟の中で加熱、循環しているようでした。脇には源泉らしき蛇口があり、ひねるとその瞬間に微かにツーンと鉱物臭がします。口に含むとほとんど無味ですが、微妙にミネラルっぽい硬さがあり、いかにも山の水って感じです。そのわりに肌はキシキシすることもなく、わりとサラッとした湯でした。そういえば浴室には外側に向けて扉があるのですが、だからといって外に露天風呂はありません。需要に応じて拡張性を考慮したのですかね。ちなみに湯舟に浸かっていると見えませんが、窓からは小滝が見えました。ただ、塀とその前の電柱がちょっと邪魔しているのが残念でした。それにしてものんびりしていて、静か、そして快適なので、秘湯の入門偏として利用するのもいいでしょう。宿泊でも利用したいなと感じる一軒宿でした。
掲載: 2007/02/10
Data
- 所在地:栃木県矢板市平野
- 入浴 :2005年8月
- 泉質 :弱酸性低張性冷鉱泉
- 泉温 :源泉14.8度
- 湧出量:毎分1.01リットル
- PH :3.1
- 蒸発残留物:884.8mg/kg
- 形態 :鉱泉宿 男女別
- 効能 :きりきず、やけど、慢性皮膚病、慢性婦人病、月経障害など
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆☆
- 清潔度:☆☆☆☆
- 気軽度:☆
- 穴場度:☆☆☆
- 鄙び度:
- 秘湯度:☆☆☆☆
- 疲労度:☆☆☆
- 湯治度:☆☆☆
- 景色 :☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆
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