鳥取県
いわいおんせん・いわいや
岩井温泉・岩井屋
足元から湧き出る名湯を味わう癒しの宿
岩井温泉は鳥取県の東部、国道9号線沿いにある歴史ある温泉地です。歓楽街的な要素のないとても静かな温泉地ですが、1300年以上も昔から人々に愛されてきた老舗の温泉地で、山陰でもっとも古い温泉地として有名です。また、「ゆかむり唄」という手拭いを頭にかぶって唄をうたいながら柄杓で湯をかぶるという奇習があることでも有名なところです。(現在では見かけることはほとんどないでしょうが・・・)岩井屋は岩井温泉にある老舗の温泉旅館です。木造三階建ての和風建築で、とても高級感漂う風格がありました。玄関を入ると左手にはロビーとコーヒーラウンジがあり、民芸品や調度品が飾られていてとても優雅な空間が広がっています。浴室は廊下をそのまま進んだ奥にあります。廊下の途中には、水車のある中庭などがあり、また館内はほのかにお香の匂いが漂い、優しく体を包み込みます。古き良き時代を思い起こさせ、どことなく懐かしい雰囲気がありました。浴室は「源泉長寿の湯」と「祝いの湯」、露天風呂の「背戸の湯」、貸切風呂の「水車庵」があります。今回は祝いの湯に入ることになりました。脱衣所は棚にちょっと深めのカゴが並ぶだけの、素朴ながらも品のあるものです。薄暗い照明で、民芸調のレトロな感覚が郷愁をさそって味が出ています。洗面台は櫛やシャワーキャップ、剃刀などアメニティグッズも揃っていました。浴室に入ると入口脇にはししおどしがあり、ときおりカコーンと澄んだ音を響かせます。そして淡い照明に、黒い太い梁や柱、木目の鮮やかな板張りの壁と、純和風の趣きは、まるで武家屋敷にでも迷い込んだかのようなとても風情のあるものです。一部、照明がガスランプ風だったり、ステンドグラスがあったりなど、和洋折衷のモダンな装いもありますが、それらはまったく嫌味でもなく違和感なく溶け込んでいて、品の高さが感じられます。とても静かな空間で落ち着く空間なのですが、その幸福感から妙に興奮してしまいます。洗い場は手前側に3つだけあり、湯舟は奥にありました。長方形をした湯舟は、角にある竹の湯口から無色透明の湯がチョロチョロと注がれ、そしてそのまま溢れ出ていました。非常に柔らかい感じのする湯で、肌触りがとてもいいです。ちょっと飲んでみると微妙に塩味っぽく、また、ミネラル分が舌の奥に残る感じがありました。湯は完全な掛け流しだそうで、シャワーやカランの湯も源泉を使用していると書いてありました。また、湯舟の奥の角はとても深くなっていて、立っても胸の下ぐらいまでありました。源泉長寿の湯の浴槽は湯舟の底から自噴しているそうですが、こちらの湯舟の底も木の板が敷いてあり、意味深な造りなのですがどうなのでしょうね。それにしても静かで落ち着いた雰囲気は、このまま眠ってしまいたくなるような安らぎを覚えます。湯上りは冷茶のサービスもあり、まさに至福のときを楽しむことができました。
掲載: 2007/03/18
Data
- 所在地:鳥取県岩美郡岩美町岩井
- 源泉名:岩井温泉 第一泉源
- 入浴 :2005年9月
- 泉質 :カルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉
- 泉温 :源泉47.6度
- 湧出量:毎分263リットル
- PH :7.3
- 蒸発残留物:1.846g/kg
- ラドン含有量:5.13x10-10Ci/kg
- 形態 :温泉旅館 男女別
- 効能 :慢性関節リウマチ、慢性筋肉リウマチ、神経痛、神経炎など
- 露天風呂:あり(一部)
- 開放度:☆☆
- 清潔度:☆☆☆☆☆
- 気軽度:☆☆
- 優雅度:☆☆☆☆
- 異色度:☆☆☆
- レトロ度:☆☆☆☆
- 景色 :☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆☆
温泉レポートを検索