神奈川県
ありまりょうようおんせん・ありまりょうようおんせんりょかん
有馬療養温泉・有馬療養温泉旅館
市街地の一角に佇む歴史ある名湯
有馬療養温泉旅館は、神奈川県川崎市にある鉱泉旅館です。観光化はされてはいませんが、常連客で賑わう人気の温泉旅館になっています。住宅街の一角にさりげなくある旅館で、一見したところ普通のマンション風のビルです。以前は木造であったらしいですが、平成6年(1994)にリニューアルしたのだそうです。有馬温泉というと兵庫県の有馬温泉がとても有名なので、そのまがい物かと疑ってしまうような名前ですが、地名が有馬というだけではなく実は、由緒正しい温泉宿なのです。この温泉の歴史は古く、資料によると大化3年(647)に役小角(えんのおづみ)という行者によって発見された、国内最古級の温泉なのです。歴史上の人物では、源頼朝や北条時頼なども療養に訪れたといわれているのだそうです。地震の影響で温泉が途絶えていたそうですが、再開発にふみきり、現在の源泉は昭和40年代に掘られたものだそうです。宿は旅館ということもあり、宿泊がメインの施設になっているのですが、日帰りでの利用も受け付けていて、多くの常連客でいつも賑わっているそうです。館内は玄関を入るとすぐに受付で、2階と3階は客室、1階の正面が女湯、右奥が男湯になっていました。受付では日帰り客も宿泊客にもまずはコップが手渡されます。これは浴場に注がれる源泉を飲む為のものだそうです。唐突に手渡されても、「温泉に入るには検尿が必要なのか?」と思ってしまいますが、そのあとに飲泉用であると説明が加わります。脱衣所は鍵付きのロッカーが並んでいますが、脱衣所内の半分は宿の荷物が占めていて何だか倉庫のような感じです。浴室は内湯のみですが、中に入るとまず湯舟が目に入るのですが、その異様さに思わず驚きます。その湯はとても濃い赤茶色の湯なのです。兵庫県の有馬温泉と見た目はそっくりです。湯舟は大人が7〜8名はゆったりと入れるぐらいで、奥に洗い場があります。湯口はライオンの首になっていて、そこからチョロチョロと冷たい源泉が注がれています。注がれているのはまだ透明に近い新鮮なもので、血腥い(ちなまぐさい)というか独特の鉄分臭を感じました。湯舟は加熱しながらも掛け流し状態です。薬物による消毒や加水、循環は一切していないそうなので、正真正銘の掛け流しのようです。透明度は6〜7センチほどしかなく、とってもしっとりとしていながらも、さっぱり感のある湯でした。あまり飾り気のない浴室ですが、ビーナス像が見守ってくれていて、霊験あらたかな雰囲気が漂います。それにしてもこんなに個性的で濃い湯が川崎にあったなんて驚きです。都会の喧騒に紛れた隠れた名湯ということになるでしょうか。宿の主人も湯の質にはかなり自信を持っているようなので、一見の価値はあると思います。
掲載: 2007/03/21
Data
- 所在地:神奈川県川崎市宮前区東有馬
- 源泉名:川崎温泉安岡2号
- 入浴 :2005年9月
- 泉質 :単純炭酸鉄泉(緊張低張性冷鉱泉)
- 泉温 :源泉17度
- 形態 :鉱泉旅館 男女別
- 効能 :心臓神経症・神経痛・リウマチ・婦人病・不妊症・月経異常など
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆
- 清潔度:☆☆
- 気軽度:☆☆
- 地元度:☆☆☆
- 穴場度:☆☆☆
- 異色度:☆☆☆☆
- 景色 :☆
- 総合評価:☆☆☆
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