山形県
おのがわおんせん・たきゆ
小野川温泉・滝湯
静かにローカルな雰囲気を楽しむ
小野川温泉は米沢市の郊外、大樽川沿いにある温泉街です。小野川温泉の歴史は古く、小野小町が父を訪ねて京都から東北に向かった途中で病に倒れ、この温泉に浸かって静養したという伝説が残っているそうです。小野小町といったら平安初期の女流歌人ですから、実に1100年以上の歴史があることになりますね。現在の温泉街は、派手さはそれほどありませんが、いくつかの温泉旅館が建ち並んで、活気ある温泉地になっています。小野川温泉にはいくつかの共同浴場もあります。滝湯もこの地にある共同湯のひとつで、温泉街のメインの通り沿いにあります。とても小さく、そして質素な浴場なので通り沿いにありながらも、うっかり見過ごしてしまいそうなところでした。同じ共同湯の「尼湯」が観光客に人気があるのに対し、こちらは素朴で地元向けの共同湯といったローカルな雰囲気がありました。こちらも観光客など一般の方の利用も認められています。利用の際には入浴券が必要ですが、ここには番台や券売機は無いので、道路の反対側にある岩瀬商店で入浴券を購入します。浴舎の扉を開けるとすぐに脱衣所です。棚が並ぶだけのとても質素なものです。棚の壁の内側に入浴券を挟んでから入浴をするルールになっていました。入浴券を提示することで無銭利用を防ごうってことですね。浴後は入浴券を壁に設置されている入浴券箱に入れて出てきます。浴室は小ぢんまりとした内湯のみです。内湯はタイル張りで湯舟がひとつあるだけです。壁の換気扇が壊れていて穴がぽっかり空いているなど少々鄙びているところが素朴さを感じさせてくれます。浴室内には洗い場やカランがありません。ケロリン桶がいくつか用意されているだけです。掛け湯や体を洗う際には桶で直接湯舟から湯を汲んで体に浴びるようです。湯舟は大人が5〜6名以上入るときついぐらいの大きさで、深さが太腿の中ぐらいまであり、けっこう深めのものでした。湯は少々熱めですが、サッパリとした熱さでとても気持ちがいいです。湯は無色透明ですが、ほんの少し白い湯の華が舞っていました。壁に湯口があり、湯は勢いよく注がれていて湯舟の隅から溢れています。完全な掛け流しになっているようですね。湯はしっかりとした硫化水素臭があり、飲んでみると少々塩味を感じましたが、それほど癖はなくとてもマロヤカです。トロトロと流れる熱め湯に浸っていると、その素朴な雰囲気に溶け込んで、しみじみした気分になりました。
掲載: 2007/04/14
Data
- 所在地:山形県米沢市小野川町
- 入浴 :2005年11月
- 泉質 :含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉
- 泉温 :源泉80.3度
- PH :6.9
- 蒸発残留物:5659mg/kg
- 形態 :公衆浴場 男女別
- 効能 :慢性皮膚病、慢性婦人病、きりきず、糖尿病など
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆
- 清潔度:☆☆
- 気軽度:☆☆☆
- 地元度:☆☆☆☆
- 鄙び度:☆☆☆☆
- 素朴度:☆☆☆☆
- 景色 :☆
- 総合評価:☆☆☆
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