熊本県
ゆみがはまおんせん・ゆのやど「ゆらくてい」
弓ヶ浜温泉・湯の宿「湯楽亭」
濃厚な源泉をダイナミックに味わう
湯楽亭は、天草の玄関口、大矢野島の弓ヶ浜温泉に建つ温泉宿です。大矢野島は天草四郎の生まれ故郷としても知られる、歴史とキリシタンの町です。湯楽亭は白壁、瓦屋根の大きな和風旅館で、静かな集落の一角にあります。とても風情のある宿ですが、浴室は別棟になっていました。浴舎では左右に男女の浴場入口がありました。脱衣所には棚が並んでいますが、これが口のとても小さな棚なので、はじめは下駄箱かと思ってしまいました。カバンなどの荷物は入らないので注意しましょう。壁には温泉に対する説明が掲げてありました。源泉には白湯と赤湯とがあり、白湯は昭和52年に湧出した弱アルカリ性の柔らかい湯で、赤湯は平成8年に湧出した新しい源泉だそうです。浴室へと向かうとまずは小ぢんまりとした内湯がありました。浴室はさらに奥へと計4つ並んでいるのだそうです。最初の浴室は、2つに区切られた岩風呂で無色透明の白湯が使用されています。手前側の湯舟は少しぬる目になっていました。湯舟の奥に湯口があり、そこには飲泉用に柄杓(ひしゃく)が用意されていました。飲んでみると癖がほとんどなく無味無臭といったところです。湯ざわりもさっぱりしていて柔らかい湯といった感じです。循環設備などはなく完全な源泉掛け流しになっています。脇の出入り口から奥へと進むと、その先には切妻屋根の浴舎に湯舟と洗い場がありました。こちらはさっきとは打って変わってライムグリーンっぽく白濁した湯です。源泉は赤湯と呼ばれる湯ですが赤くはありません。平成8年の湧出当時は真っ赤だったそうですが、次第に色に変化が出てきて、今では季節や天候によって様々な装いを見せるのだそうです。湯口は石臼のような釜にパイプが突っ込まれていて、ボコボコ音を立てながら湯が注がれているようです。注がれる湯はほとんど無色透明なのですが、釜の周りは鍾乳石のような堆積物でビッシリと覆われています。そして湯舟も床もまるで鍾乳洞のようにゴツゴツとした鍾乳石でコーティングされて、クリーム色をした千枚田になっていました。それにしても豪快な温泉ですね。これはホントに凄いです。飲んでみると炭酸のような風味と塩味がありました。また、鉄分っぽい味も感じました。天草にこんなに個性的な温泉があるとは知りませんでした。湯舟をよくみると湯の表面にはキラキラと細かな湯の華が浮いていました。こんなに湯が濃いと、パイプも詰まりやすいだろうし管理も大変なのでしょうね。続いて、扉の向こうには三番目の浴室になる露天風呂があります。こちらも赤湯が使われていました。こちらは湯舟の中に直接ホースのようなものが突っ込まれていて、ボコボコと泡が出ていました。外気に晒されているせいなのか、少しぬる目でゆっくりと浸かるにはちょうど良い温度でした。そして四番目となる浴室は、なんとこの露天の目の前の岩肌にぽっかり空いた洞窟風呂です。露天風呂の湯舟からは、そのままつながっています。まさに手掘りといった感じの穴が岩肌に開いているので、すごく怪しげな感じがします。中に入ると、照明はあるものの薄暗く、わりと広いですがとても蒸しています。そこで終わりなのだろうと思ったら、さらに奥へと洞窟は続きます。浅くなった洞窟を進んでいくと、また広い空間に出ました。ここは天井も手が届かないくらい高くて広々としています。家族総出で掘ったとのことですが、ここまで掘るのはとても苦労したことでしょう。温泉の熱気がこもっていてスチームサウナみたいになっていました。さらに奥には木の壁があり、そこは女湯につながっているようです。壁越しに会話ぐらいはできそうな雰囲気でした。初恋の湯と名前が付けられていますが、いくら暗闇とはいえ、なるほどドキドキしちゃいますね。これは予想外に上々の出来で、とにかく気に入りました。湯はどれも源泉掛け流しで薬剤等の投入もなく、とにかく素晴らしい出来栄えです。今回は立ち寄りで利用させてもらいましたが、宿泊でじっくりと味わってみるといいでしょう。
掲載: 2007/06/23
Data
- 所在地:熊本県上天草市大矢野町上
- 入浴 :2005年12月
- 泉質 :(白湯)ナトリウム−炭酸水素塩泉
(赤湯)ナトリウム−塩化物・炭酸水素塩泉 - 泉温 :(白湯)源泉33.5度
(赤湯)源泉47.0度 - 形態 :温泉旅館 男女別
- 効能 :きりきず・やけど・慢性皮膚病・虚弱児童・慢性婦人病など
- 露天風呂:あり
- 開放度:☆☆☆
- 清潔度:☆☆☆
- 気軽度:☆
- 異色度:☆☆☆☆☆
- 景色 :☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆☆☆
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