福島県
ゆのくらおんせん・きょうどうよくじょう
湯倉温泉・共同浴場
素朴で地味ながらも隠れた名湯
福島県の西側、会津地方の金山町は豪雪地帯としても有名な静かな田舎町です。非常に静かでのんびりとした地味なところですが、個性派ぞろいの温泉が目白押しの地域でもあります。湯倉温泉は尾瀬を源流とする只見川沿いにポツンと建つとっても素朴な温泉で、国道252号線の対岸にあります。川の手前は橋立温泉で、橋を渡った先が湯倉温泉です。橋を渡ると小さな旅館がありますが、その奥に共同浴場があります。普通に国道を走っていたら気づかないぐらい地味な存在ですが、対岸に湯けむりのあがる赤茶色の温泉ドームがあるので、そこを注意しているとすぐにわかります。共同浴場といっても案内や看板があるわけでもなく、民家の小さな小屋のように見えます。中に入るとソファーがいくつかある小さなロビーがあり、そして男性、女性の脱衣所入口がありました。ここは無人の管理になっていて清掃協力金の名目で入浴料を各自で料金箱に入れて利用するシステムになっています。脱衣所は狭く簡素な棚があるだけです。そして浴場に入ると小ぢんまりとした室内に7〜8名ほどでいっぱいの湯舟がひとつだけありました。脱衣所に比べて内湯が広く感じたのですが、実は浴室はひとつで男女の脱衣所から繋がっていて混浴の浴場となっているのです。素朴でさりげないながらもとても大らかな造りです。そしてさらに驚くのがその湯舟と床です。長方形をした湯舟はオレンジ色というかクリーム色をした温泉の成分がびっしりとこびりついているのです。床のタイルも変色しかけているほどでした。湯は湯小屋の外から引かれていて、浴室の脇を通ってそのまま川へと流れているようです。湯舟へはその流れの一部を注いでいるようでした。注がれる湯はほとんど無色透明なのですが湯舟の湯は薄い黄銅色で透明度は25センチほどです。飲めるのでしょう、飲泉用のコップも用意されていました。さっそく飲んでみると薄い塩味+鉄味+苦味で、それほど不味くはないのですが後味はけっして良くないです。注がれる湯はわりと高温なので、注ぎ込む量をうまく加減して湯舟の温度を調整しているようです。丁度いい温度でのんびりと浸かることができましたが、すぐに体は温まり浴後はなかなか汗がひかなくなるほど、よくあたたまる湯のようです。窓からは優雅に流れる川や緑豊かな林が見えます。目の前の大きな木で何かが動いたような気がすると、目を凝らすと2匹のリスが遊んでいました。すばしっこいので写真に撮ることができませんでしたが、本当に自然が豊かなのですね。湯の流れる音とポンプの音だけで、非常にのんびりと過ごすことができました。ちなみに大量に捨てられている廃湯は、川べりに巨大な温泉ドームを造っていました。非常に地味な存在ながらも、けっこうインパクトの強い温泉でした。
掲載: 2008/02/17
Data
- 所在地:福島県大沼郡金山町
- 入浴 :2006年9月
- 泉質 :塩化物泉
- 泉温 :源泉60.6度
- 形態 :共同浴場 混浴
- 効能 :きりきず、やけど、慢性皮膚病、虚弱児童、慢性婦人病など
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆
- 清潔度:☆
- 気軽度:☆
- 地元度:☆☆☆☆☆
- 穴場度:☆☆☆
- 鄙び度:☆☆☆
- 秘湯度:☆☆☆☆☆
- 素朴度:☆☆☆☆☆
- 異色度:☆☆☆
- 景色 :☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆☆☆
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