福島県
たきざわおんせん・みんしゅくまつのゆ
滝沢温泉・民宿松の湯
温泉に浸かりながら格言を楽しむ
大沼郡金山町にある滝沢温泉は、国道252号線のすぐ脇にある小さな温泉です。民宿松の湯は、石材屋さんが経営している民宿です。素朴で親しみの持てる小さな宿ですが、日帰りの入浴も積極的に行っています。宿は石材屋の隣にあるのですが、その玄関前には様々な石のオブジェがごちゃごちゃと並び、とても賑やかな雰囲気です。石灯籠や七福神、人魚やお地蔵、墓石から格言の彫られた石碑まで、とにかくバラエティに富んだ石の彫刻が並び、いくに石材屋の経営とはいっても、ちょっとやりすぎって感じがするほど賑やかです。ところが館内に入るとすごく家庭的な雰囲気で、まるで田舎の親戚の家にでも来たかのようなアットホームな雰囲気がありました。また、今回は日帰り入浴として利用させていただきましたが、非常に良心的な料金でありながらもとても温かく迎えてもらって、非常に恐縮してしまうほど親切でした。さっそく浴場に向かうと、脱衣所には棚に籠が9つ用意され、小さな洗面台と体重計、そして古そうなマッサージチェアーがあるだけのとてもシンプルなものでした。また、壁には大きく温泉分析表が掲げられていました。浴室はわりと広めなのですが、10名ほど入れる湯舟と洗い場が3つあるだけの、こちらも非常にシンプルな設計です。とは言え、浴室内は贅沢にも御影石などの石造りで、格言などが書かれた石碑などもあり、石材屋らしさも溢れていました。それほど大きな浴場ではないながらも、民宿の風呂にしてはやはり豪華で大きい方でしょう。そして湯舟へは角の石を組んだ湯口から湯がジャンジャンと注がれ、豪快に掛け流し状態となっています。注がれる湯の温度が高いということもあり、ホースで水も大量に加えられていました。また、驚くことに湯舟の縁や床は、温泉の成分による堆積物がこびりついて、鮮やかなオレンジ色に染まっています。湯は薄い鶯色をしていました。けっこう見た目にもインパクトの強い温泉です。ジャンジャンと加水されている割りには、湯舟の湯はけっこう熱めです。注がれる湯はほとんど熱湯並みの熱さでした。実は窓のすぐ外には源泉があります。源泉は井戸から直接汲み上げられて湯舟に注がれているようです。また、その井戸も温泉の成分による堆積でしょう、ドーム状に盛り上がっていて、半端ではない豪快な姿をしています。源泉井戸のパイプからはブォーッブォーッと激しい音を立てながら湯が吹き出ていました。吹き出る湯の音のせいで、静かな山の中にもかかわらず、浴室内はうるさいほどでした。湯舟へと注がれているのは、そのほんの一部だけのようで、ほとんどはそのまま捨てられているようです。こんな個性的で素晴らしい温泉が、なんとも勿体ない話です。湯を舐めてみると薄い塩味+苦味で、お世辞にも美味しいとは言えない味です。湯面には微妙に粉っぽい浮遊物があり、これが堆積物の大元のようです。非常に素朴な温泉ながらも、驚きと感動を体験できる素晴らしい温泉でした。
掲載: 2008/03/02
Data
- 所在地:福島県大沼郡金山町滝沢
- 源泉名:松の湯
- 入浴 :2006年9月
- 泉質 :塩化物泉(ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉)
- 泉温 :源泉51.8度
- PH :7.0
- 蒸発残留物:10.695グラム
- 成分総計:11.7605グラム
- 形態 :民宿 男女別
- 効能 :きりきず、やけど、虚弱児童、慢性皮膚病、慢性婦人病など
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆
- 清潔度:☆☆☆
- 気軽度:☆
- 穴場度:☆☆☆
- 秘湯度:☆☆☆☆
- 異色度:☆☆☆☆
- 景色 :☆☆
- 総合評価:☆☆☆☆
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