福島県
あいづかわぐちおんせん・たまなわのゆ
会津川口温泉・玉縄の湯
地味すぎるほどのロケーションがたまらない
只見川とその支流である野尻川が合流する会津川口には、玉縄の湯という素朴な共同浴場があります。野尻川の河畔に隠れるようにしてポツンと建つ小さな共同浴場で、周囲を林に囲まれ正面には川が流れ孤立しているように静かに佇んでいました。一見したところ単なる農具などを収納する小屋か、土木か林業関係の倉庫のような感じで、とても温泉浴場のようには見えません。人目につかない隠れた場所でわかりづらく、近くに案内の看板なども無いので、ここに温泉浴場があるということを知っている人しか気づく人はいないことでしょう。国道から川沿いの細い道を入って行きますが、その途中には玉縄城址というのがありました。天文13年(1544年)に山内俊清氏が築いた城だということです。温泉の名前はここから付けられたのですかね。小屋の手前に駐車スペースがあって、森に入っていくように建物が建っています。近づいてみると入口にはしっかりと看板があって浴場だということがわかります。まるで地元民専用の温泉施設のようですが、私のナビにはしっかりと名前が出ているし、観光客お断りとも書いていないので、誰でも利用はできそうです。中に入ると板間があってその左右に男女別の浴場入口がありました。管理人は常駐せず、料金箱が設置されているので利用者は各自で入浴料を払うシステムになっていました。ちなみに営業時間は夕方からで、しかも週に4日ほどしか営業していないようです。訪れる際には時間や曜日などを事前に確認しておくのがいいでしょう。脱衣所は棚と籠がちょっとあるだけで、狭くそして簡素なものです。そして浴室も小ぢんまりとした小さめのもので8名ほど入れる湯舟がひとつあるだけです。湯舟も床もコンクリート打ちっぱなしで、奥のパイプから無色透明の湯がドバドバと惜しげもなく掛け流されていました。質素な存在でありながらも、非常に贅沢な温泉です。湯舟の湯はごく微妙に白濁していて、湯舟も床も赤茶色に染まっていました。湯はけっこうぬる目の湯ですが、浸かっているとそのうちポカポカと体の内側から温まってくるような気がします。それからあっという間に体中に小さな気泡がまとわりついてきます。そういえば何となく炭酸っぽい匂いもします。まるでソーダ水の中に入っているかのように気泡が体中を包み込んで、シュワシュワと小さな泡がはじける感覚がとても気持ちいいです。湯口の湯を少し舐めてみると薄い塩味とごく微妙に苦味を感じました。先客は地元の方が1名いて、世間話を少々した後に上がられてからは独占状態で、本当に静かな雰囲気です。ロケーション、湯の印象ともに個性的で、ローカルな雰囲気がとても気に入りました。
掲載: 2008/03/08
Data
- 所在地:福島県大沼郡金山町川口
- 入浴 :2006年9月
- 泉質 :ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉
- 泉温 :源泉41.0度
- 湧出量:毎分285リットル
- PH :7.42
- 蒸発残留物:6.7944g/kg
- 形態 :共同浴場 男女別
- 効能 :きりきず、やけど、慢性皮膚病、虚弱児童など
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆
- 清潔度:☆
- 気軽度:☆
- 地元度:☆☆☆☆☆
- 鄙び度:☆☆☆☆
- 秘湯度:☆☆☆☆☆
- 異色度:☆☆☆
- 景色 :☆
- 総合評価:☆☆☆☆
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