神奈川県
はこねゆもとおんせん・かっぱてんごく
箱根湯本温泉・かっぱ天国
駅前なのに、秘湯ムード満点のワイルド温泉
「かっぱ天国」は、箱根湯本駅のすぐ裏、崖の上にある温泉施設です。駅のすぐ目の前ですが崖を登らなければならないので、箱根ベコニア園に向かって踏切を渡り、すぐに右に曲がって細い道を進むと辿り付けます。しかしながら、車がすれ違うことができないほど細い道になっていて、駅前ながらも辺鄙な場所にあります。その道の途中に施設の入口があるのですが、駐車場はそのずっと奥にあります。白石地蔵を過ぎてさらに突き当たりまで進んだところに広くなったスペースがあり、そこにクルマを停めて戻るようにして歩いてようやく入口に辿りつくことができました。「かっぱ天国」と書かれた入口からは、また急な上り坂の階段が続きます。これがまたホントに急なもので、息が切れるほどの難所でした。すぐに建物が見えてきて、館内に入るとそこには受付がありました。そして奥に休憩所兼の食事処があり、履物はコインロッカーか棚の下足箱に入れるようなシステムとなっています。浴場へはさらに階段を登った上にあるようです。予想以上に体育会系の温泉のようです。ドタドタと足音の響く板張りの廊下を進んでいくと、その奥が女湯、その手前に男湯の入口がありました。脱衣所はコインロッカーと棚がありますが、質素で簡易的な印象です。歩くたびにミシミシとなる床がとても古びた鄙びを感じさせてくれています。そして一段高くなったところに板張りのスペースがあり、その左右に岩風呂の露天風呂がありました。右側は小さく、左側は大きな湯舟となっています。内湯はなくこの露天風呂だけというワイルドな施設ですが、この何とも言えぬ寂れ加減が何とも風情を感じさせてくれます。崖の上とはいえ、ここが本当に駅前なのかと疑ってしまうほどのロケーションです。まさに深い山の中にあるといった雰囲気で、見上げると山の木々が天を覆い、木の葉が舞い散り、虫も飛び交い、まさしく野天風呂といえるでしょう。ただ駅前ということもあり、電車の音や構内アナウンス、街の喧騒なども響きわたりますが、耳からの刺激と目に飛び込む風景とのギャップが非常に楽しいです。その喧騒を打ち消すかのように、和風の琴のBGMが流れていました。湯は洗面器に汲んでみるとほとんど無色透明ですが、湯舟では極微妙に鶯色に濁っています。岩風呂の岩も赤茶けています。微かに鉄分っぽい臭いも感じます。脱衣所の説明によると加熱、加水、循環、消毒、入浴剤などは一切行っておらず、掛け流しで利用されているようです。ロケーション以上にとても本格的な温泉なのです。残念ながら湯の注ぎ口は湯舟の中にあるようで、水面上にはそれらしきものはありませんが、チョロチョロと溢れ出て流れていっています。駅前の一等地のような気もしますが、急な坂道を登らなくてはならないことと、裏手にあたることで、それほど混雑することもなさそうです。けっこう穴場なのかもしれませんね。ちなみに、足湯の施設(有料)や家族風呂の施設もあり、用途に合わせて様々な楽しみ方ができるようです。
掲載: 2009/01/12
Data
- 所在地:神奈川県足柄下郡箱根町湯本
- 源泉名:白石地蔵の湯
- 入浴 :2007年10月
- 泉質 :ナトリウム−塩化物・硫酸塩泉(アルカリ性低張性高温泉)
- 泉温 :源泉54.7度
- PH :8.64
- 蒸発残留物:1.045g/kg
- 形態 :温泉宿泊施設 男女別
- 効能 :きりきず、やけど、慢性皮膚病、虚弱児童、慢性婦人病など
- 露天風呂:あり
- 脱衣所:あり
- 開放度:☆☆☆☆
- 清潔度:☆☆
- 気軽度:☆☆
- 穴場度:☆☆☆
- 野趣度:☆☆☆☆
- 秘湯度:☆☆
- 異色度:☆☆☆☆
- 景色 :☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆☆
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