栃木県
いたむろおんせん・さんこうかん
板室温泉・山晃館
素朴で静かな佇まいが嬉しい下野の薬湯
那須高原の西、那珂川の上流の谷間に佇む静かな温泉街が板室温泉です。山の谷間にいくつかの温泉宿が建ち並び温泉街を形成していますが、歓楽街的な要素は少なく、非常にのんびりとした雰囲気の温泉地です。とても歴史の古い温泉で、康平2年(1059年)に発見され「下野の薬湯」として親しまれてきた老舗の温泉地だそうで、その薬効の高さからも昭和46年に国民保養温泉地の指定を受けた本格派の温泉地です。山晃館は温泉街からは少し離れた山の中にある、素朴で静かな温泉宿です。那須寄りの県道から脇道に入った先にあるのですが、未舗装の山林を数百メートル進んでいくので、ちょっと不安になってしまうロケーションにあります。やがて宿が見えてくるのですが、平屋の割りと質素な建物で、山間にある鉱泉宿という印象を受けました。浴室は1階の一番奥側、駐車場に面するところにあります。脱衣所は簡易的な棚にカゴがあるだけの素朴なタイプで、小ぢんまりとした雰囲気ですが古びた様子もなくとても清潔的な印象を受けました。浴室はタイル張りの小さなものです。家庭のお風呂を大きくしたようなイメージでしょうか。洗い場は二ヶ所あり、湯舟が大小2つ並んでいます。大小といっても、小さい方は大人がひとりでちょうどいいぐらいの小さなものです。どちらも角の湯口からチョロチョロと源泉が注がれ、そのまま湯舟から溢れて掛け流しになっていました。無色透明の湯で、サラサラっとした軽い感じの湯です。体を沈めると小さい方は豪快に、そして大きいほうでもそれなりに湯がドバーッと溢れ出るので、とても贅沢な気分になれます。それほど熱くもなく、ちょうどいい温度だったので気持ちよく入れました。ちなみに窓があるのですが、その目の前は駐車場です。女湯も同じように窓があり、駐車場から丸見えじゃないかというとても大らかな浴室です。しかしながら実際に外から見てみると、直接覗き込まない限り見えない感じでした。内湯はこれだけですが、内湯に向かう廊下の途中に露天風呂への出入口があります。そちらは外に出ると少し離れたところに浴舎がありました。木造の脱衣小屋ですが、男女の区別はなく、また湯舟もひとつあるだけです。内湯は男女別ですが露天は混浴になっているのでした。湯治の客が多いらしく、人生の先輩方たちが男女入り乱れて入っておられました。寂れた雰囲気の宿ではあるものの、露天の雰囲気がとてもよく、また、入浴客も後を断たないので非常に人気のある宿のようです。露天はヒノキの湯舟に大きな番傘のような屋根が一部についています。外側は林になっていて、その奥に川面が見えました。非常にのんびりとしたムードで、また開放感もたっぷりです。お湯もぬる目なので、じっくりと浸かることができます。気がつくと体中を気泡が包み込んでいます。シュワシュワと心地よい感触もまた好印象です。ちなみに湯口には内湯も露天にもカップが用意されていて、飲泉が可能となっています。さっぱりとして、微妙に塩味というか苦味らしき風味がありました。それにしても本当にのんびりとした雰囲気で、ここだけ時間の流れが遅いのかと思うほどまったりとした感じが良かったです。湯治客に塗れてじっくりと静養したいものです。
掲載: 2009/06/20
Data
- 所在地:栃木県那須塩原市板室
- 源泉名:室井源泉
- 入浴 :2008年7月
- 泉質 :ナトリウム・カルシウム−硫酸塩温泉(アルカリ性低張性温泉)
- 泉温 :源泉40.1度
- PH :9.4
- 蒸発残留物:1103mg/kg
- 形態 :温泉旅館 男女別
- 効能 :神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばりなど
- 露天風呂:あり
- 脱衣所:あり(露天は男女共用)
- 開放度:☆☆☆
- 清潔度:☆☆☆
- 気軽度:☆
- 穴場度:☆☆☆
- 鄙び度:☆
- 秘湯度:☆☆☆☆
- 異色度:☆☆☆
- 湯治度:☆☆☆☆
- 景色 :☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆
温泉レポートを検索