奈良県
どろかわおんせん・かどじん
洞川温泉・角甚
昔ながらの旅籠を味わえる、雰囲気よし、温泉よしの和風旅館
洞川温泉は修験の山として知られる大峯山の登山口にある温泉地です。温泉としての歴史はまだまだ新しいものですが古くから宿場として栄え、今でも観光客や登山客で賑わう山の中の温泉地です。また土産物屋や食事処などもあり、それなりに活気ある温泉街となっていました。しかしながら古めかしい雰囲気が漂い、懐かしさや情緒のある街並みとなっています。「行者の宿 角甚」は、温泉街の中ほどにある和風の老舗旅館です。創業は元禄元年(1688)ということで、歴史の重みのような雰囲気があります。館内には大きな額縁に入った行者の名簿や古い菅笠などがズラリと並び、黒光りした床や柱から年季の入った調度品まで、まるで資料館の中にでもいるかのようなとても情緒ある佇まいです。旅館は非常に小ぢんまりとした小規模なものですが、浴場は男女別のものと、貸切風呂とがあります。男女別の浴場は1階の奥にあり、それぞれ趣向が違っていて朝と夜とで男女が入れ替わるようです。宿泊の場合はその両方を楽しむことができます。まず最初に入ったのは「笑の湯」という超音波付きの浴場でした。脱衣所は非常に狭く、簡易的な棚がある質素なタイプです。三段式のスライドドアを開けると浴場がありますが、こちらもとても小ぢんまりとした閉塞的な空間です。正面に階段状になり渓流のように流れる湯の注ぎ口があり、そしてお堀の池のような印象を受ける湯舟がありました。外窓はなく室内の照明だけですが、石のゴツゴツした壁と石タイルの床などが、洞窟な雰囲気も醸し出していました。もう一方の浴場は「行者の湯」というバブル付きの浴場です。こちらも同じように小ぢんまりとした小さな浴場です。ただ、閉塞的な空間は同じですが、壁が木目の鮮やかな木の板だったりするので、少し柔らかみのある浴場でした。こちらの浴場は漢方の湯となっていて、陀羅尼助の原料ともなっているオウバクなどを配合した湯となっていました。貸切風呂は2階にあります。露天風呂になっていて、脱衣所には小さな洗面台と小さな棚があります。扉を開けて外に出るとすぐ目の前に茶碗を大きくしたような陶器の湯舟があります。大人が二人でいっぱいくらいの大きさで、グループで利用というよりは夫婦やカップルでの利用になるでしょう。一応、洗い場のようなものはありますが、非常に狭くて体を洗うというより、汗を流す程度のものです。ササッと体を流して湯舟に浸かると、ザザーッと豪快に湯が零れ落ちとても優雅な気分にさせてくれます。湯舟のすぐ外側は裏庭というか、裏山に面した斜面に庭木が配されたものになっていて、それを眺めながらのんびりとリラックスしながら湯を楽しむことができました。湯は無色透明でサラサラとした湯ですが、微妙にツルッとした浴感もあり、刺激が少なくとても入りやすい湯です。修行で疲れた体を癒すには最高の湯かもしれませんね。
掲載: 2009/08/30
Data
- 所在地:奈良県吉野郡天川村洞川
- 源泉名:洞川温泉「新泉」
- 入浴 :2008年8月
- 泉質 :単純温泉(アルカリ性単純温泉)
- 泉温 :源泉30.7度
- 湧出量:毎分140リットル
- PH :8.4
- 蒸発残留物:0.330g/kg
- ラドン含有量:0.87 x 10-10Ci/kg
- 形態 :観光旅館 男女別(露天貸切)
- 効能 :神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばりなど
- 露天風呂:あり
- 開放度:☆
- 清潔度:☆☆☆☆
- 気軽度:☆☆
- 優雅度:☆☆
- 異色度:☆☆☆
- レトロ度:☆☆☆
- 景色 :☆☆
- 総合評価:☆☆☆
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