群馬県
かわらゆおんせん・やまきかん
川原湯温泉・山木館
落ち着いた雰囲気と自然の和み、水車とムササビの老舗温泉宿
川原湯温泉は群馬県吾妻郡長野原町、吾妻川沿いにある老舗の温泉地です。温泉の歴史は古く、建久4年(1193)に源頼朝が偶然湯けむりが立ち昇っているのを見つけたことから発見されたとの伝説もあります。しかしながら残念なことに八ツ場ダムの建設によって、温泉街は湖底に沈むことが予定されています。どこか懐かしさの漂う温泉街ですが、この風景はやがて幻となるのかもしれません。山木館はそんな温泉街の中ほど、民芸調の建物に水車のある風情ある雰囲気がある和風温泉宿です。慶長年間(1596-1615)に創業したという老舗の温泉宿で、館内には昭和初期の棚や、100年前の松の一枚板で作った椅子などいたるところに古い家具や調度品などが飾られ、歴史の重みを感じる宿となっていました。古いといっても、宿そのものは汚いとかボロいという感じはまったくなく、年季の入った古風で粋な雰囲気といった上品さがありました。浴場は館内に5ヵ所あり、じっくりと温泉三昧できるようになっています。まずは館内一番奥にある露天風呂へと向かいます。こちらは男性用が「水車の湯」で女性用が「望郷の湯」です。山の谷間に宿がへばりつくように建っているので、階段を下りて谷間に向かっていきます。簡易的な脱衣場があり、そしてすぐ目の前が湯舟となっていました。水車の湯はその名の通り、目の前に水車があります。細長い湯舟のすぐ脇を古めかしい水車がゆっくりと、そしてバシャバシャと水しぶきをあげながら回っています。湯舟の外側は谷間になっていて、緑が溢れていてとてもリラックスした気分で入浴することができました。湯は無色透明で、サラッとしてあまり癖のない湯でした。ところが非常に温まる湯のようで、湯舟を出てから汗が止まらなくなり、さっぱりしたはずが汗でシャツが冷たくなるほどでした。内湯は館内の中ほどにありました。脱衣所に入ると、外側に窓がありとても明るい雰囲気です。谷間に面してあるようで、目の前には森があります。脱衣所にはムササビの写真が飾られているのですが、実は浴場の目の前の木にムササビの餌付け台があるのです。ムササビを眺めながら入浴できるようですが、残念ながらこのときはムササビにお目にかかることはできませんでした。浴場は内湯でタイル張りのシンプルながらも、奥にはビーナス像が建っていました。こちらも同じように無色透明の湯なのですが、内湯であるだけに温泉の湯気がこもっていて蒸しています。また、少し硫黄泉っぽい独特の温泉臭(硫化水素臭)も感じました。ちなみに女湯は坪庭のある小ぢんまりとした浴場で、時間帯によっては男女が入れ替わることがあるようです。そして5つ目の浴場は貸切家族風呂となっています。内湯ながらも岩風呂で、小ぢんまりとしながらも狭苦しさもない程度で、なかなか風情を感じる浴場でした。ダムの工事も急ピッチで進んでいるようで、周囲ではすでに護岸が整備されつつありました。数年後にはダムの底に沈んでしまうようですが、今後どのように開発整備されていくのか気になるところです。
掲載: 2009/09/12
Data
- 所在地:群馬県吾妻郡長野原町川原湯
- 源泉名:元の湯、新湯の混合泉
- 入浴 :2008年8月
- 泉質 :含硫黄−カルシウム・ナトリウム−塩化物・硫酸塩温泉
(中性低張性高温泉) - 泉温 :源泉71.6度
- PH :7.1
- 蒸発残留物:1.99g/kg
- 形態 :温泉旅館 男女別
- 効能 :慢性皮膚病、慢性婦人病、糖尿病、きりきず、やけどなど
- 露天風呂:あり
- 開放度:☆☆☆
- 清潔度:☆☆☆
- 気軽度:☆
- 野趣度:☆☆
- 鄙び度:☆☆☆
- 秘湯度:☆☆☆
- 素朴度:☆☆☆☆
- 異色度:☆☆
- レトロ度:☆☆☆
- 景色 :☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆
温泉レポートを検索