千葉県
ふろうざんやくしおんせん
不老山薬師温泉
怪しさ満点、薬効高い房総先端の秘湯温泉
千葉県房総半島の先端付近、安房自然村の中にある日帰り温泉施設が「不老山薬師温泉」です。安房自然村は10万坪という広大な敷地内には、温泉施設の他にもホテルや食事処、展望台やお堂などが点在しています。テーマパークや遊園地といった雰囲気ではなく、自然豊かな広い敷地がただ開放されているといった印象です。散歩やハイキングなど、気軽に散策してみるのがいいでしょう。国道からは案内に従って中に入っていくと、クネクネとカーブした道の先に藁葺き屋根の民芸調の建物が見えてきます。ずいぶんと古そうな佇まいで、何だろうここは?と疑問に思ってしまうような不思議なムードの建物ですが、その入口には「不老山薬師温泉」と書かれた玄関がありました。館内に入るとすぐそこにはレジがあり、簡易的なテーブルと椅子が並んだエリアと、畳の広間が見えます。中では数名の先客が食事を楽しんでいました。どうやら食事処として営業をしているようですが、どこにも温泉らしさがありません。しかし、レジ脇には入浴受付の文字があります。さっそく受付を済ませると、浴場はレジ正面の廊下の奥と告げられました。履物を脱いであがり、ミシミシと歩くたびに軋む廊下を進むと、さらに下へと降りる階段がありました。浴場はこの階段の下にあるようですが、それよりもこの鄙びた佇まいに衝撃を感じました。古い民家を移築したのか、それとも以前よりここにあったのかは不明ですが、とにかく文化財級の古さを感じます。階段を下りて浴場に向かおうとすると、今度はコンクリートの壁がまた、異様な雰囲気を醸しだしていました。異様というのも変ですが、民芸調とはまったく趣向の違う通路で、新しくもない古びた感じが怪しいレトロ感を匂わせていました。脱衣所は簡易的な棚に籠が並びます。上の方にある籠には埃が溜まっていて、骨董的価値があるのではないかと感じるほど怪しさが出ています。そして恐る恐る浴室へと入ると、そこには内湯があるのですが、昭和を彷彿させるような少し古びた印象を受ける素朴な浴室です。小ぢんまりとした浴室ですが、それなりに大きくとってある湯舟があり、洗い場もシャワー付きのものがいくつか用意されています。湯舟の湯はくすんだ黄色をした湯で、クリア感のある湯です。さっそく体を流して湯舟に浸かると、少しヌルッとした浴感がありました。予想外に感触のいい湯で、思わずニンマリとしてしまいます。薬師湯とあるぐらいなので薬効があるのでしょうが、この色と感触からも何となく頷けてますね。ちなみにカランの湯水も色付きのものが出てくるので、源泉が利用されているようです。外側には露天風呂もありました。こちらはコンクリートで整備された岩風呂で、大人が6〜7名ぐらい入れる大きさです。非常に質素というか、手作り感のある素朴な露天風呂です。森の窪地に作られたようなうっそうとした印象を受ける露天で、すぐ脇は崖になっているので、開放感のようなものはありません。その崖の上には森があり崖には草木の根や蔓が垂れ下がり、とてもワイルドな雰囲気です。房総にこんな個性的な温泉施設があったとは驚きでした。湯は熱すぎずぬるすぎず適温なのですが、非常にあたたまりの良い湯のようで、汗が噴き出し始めると止まらなくなるほどでした。気持ちよく汗を流せ、またこの怪しい雰囲気にとても満足できました。万人ウケする施設ではありませんが、たまには変わった雰囲気を味わいたいという方には、手軽に利用できる施設なのでオススメです。
掲載: 2009/09/19
Data
- 所在地:千葉県館山市布良
- 入浴 :2008年9月
- 泉質 :メタほう酸、メタけい酸、重炭酸ソーダ
- 形態 :温泉施設 男女別
- 効能 :慢性関節リューマチ、神経痛、神経炎、慢性皮膚病など
- 露天風呂:あり
- 開放度:☆
- 清潔度:☆☆
- 気軽度:☆☆
- 穴場度:☆☆☆
- 野趣度:☆☆☆
- 鄙び度:☆☆☆
- 秘湯度:☆☆☆
- 異色度:☆☆☆☆
- 景色 :☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆☆
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