福島県
おりきおんせん・つるやりょかん
折木温泉・つるや旅館
隠れた名湯、つるつるの冷泉の打たせ湯を味わう
折木温泉つるや旅館は福島県の浜通り、広野町の山間部に湧く鉱泉宿です。森の中を抜ける県道35号線から案内の看板に従って、脇道に入った奥に旅館があります。しかし、何やら小さな集落に入って行き、旅館なんかこの先にあるのだろうかと不安になるような場所で、他の民家に紛れるようにして旅館は建っていました。鉱泉宿ということで鄙びた小さな宿を想像していたのですが、規模は小さいながらもそれなりに立派な旅館で、湯治客にも人気があるようです。浴場は玄関入って左側、廊下の途中にあります。脱衣所に入ると、すぐ目の前に浴場のガラス戸があるのですが、マジックミラーになっているようでこちらからは中が見えずに自分の姿が映っていました。脇には棚と洗面台があり、とても小ぢんまりとしています。浴場に入ると手前に洗い場があり、奥に湯舟のあるスタンダードなスタイルですが、何やらその左側に下へと続く階段と細いスペースがありました。覗き込んでみると一段下がったところに打たせ湯が一筋流れていました。浴室は石畳と石垣風の壁で、小さな浴室ながらも風情のある佇まいでした。男女を仕切る壁は天井下までで、女湯からは賑やかな声が聞こえています。常連さんたちが入浴しているようですね。男湯はタイミングが良かったのか、暫くの間は貸切状態で利用することができました。体をサッと流して湯舟に入ろうとすると、これがけっこう熱いです。沸かし湯のようですが、沸かしすぎではないでしょうか、これはちょっともったいないですね。壁には源泉と書かれたバルブがあり、それをひねって源泉を注いで温度を調節するようです。さっそくひねってみると、手前の小さなパイプからチョロチョロと冷たい水が流れて、また、奥の岩の湯口からも冷たい水が流れ始めました。湯は湯舟からドンドン溢れ出ています。掛け流し状態になりました。なんとか入れる温度になったので浸かると、ドバッと湯が溢れ出します。そしてツルッとした浴感が体を包み込みました。湯はほとんど無色透明ですが、微妙に黄色っぽいような気もします。ツルツル感はけっこう強く、肌を撫でるとその瞬間だけツルッとする柔らかくさっぱりとした湯です。つるや旅館の「つる」はここから来たのではないかと感じるほどでした。続いて打たせ湯に下りていきます。するとこれは湯ではなく、冷たい源泉のようでした。同じようにツルツルとした感触のある水ですが、冷たいので体をよく暖めてからでないと打たれることができませんね。熱く火照った体に冷たい打たせ湯を浴びると、体が引き締まるような感じでとても気持ちが良かったです。あまり有名な温泉ではありませんが、これはまさに隠れた名湯なのかもしれませんね。雰囲気も泉質も申し分ありません。けっして大きな施設ではありませんが、のんびりと温泉を楽しみながら過ごしてみたい宿ですね。
掲載: 2009/10/17
Data
- 所在地:福島県双葉郡広野町折木字南沢
- 入浴 :2008年11月
- 泉質 :アルカリ泉(鉱泉)
- 泉温 :源泉20度
- 湧出量:毎分80リットル
- PH :9.0
- 形態 :鉱泉旅館 男女別
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆
- 清潔度:☆☆☆
- 気軽度:☆
- 地元度:☆☆☆
- 穴場度:☆☆☆
- 秘湯度:☆☆☆
- 素朴度:☆☆☆
- 異色度:☆☆
- 景色 :☆
- 総合評価:☆☆☆
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