群馬県
くさつおんせん・きりしまやりょかん
草津温泉・桐島屋旅館
温泉文化、湯治にこだわりを持つ本格派老舗温泉宿
草津温泉は古くから天下の名湯として知られ、日本を代表する温泉地のひとつとして有名です。湯の華の採取場である湯畑を中心とした古い風情の温泉街と、若い世代の観光客を惹き付けるモダンな土産物屋なども混在した、一大観光温泉地となっています。その中心地にもほど近い、日晃寺の脇に建つ老舗の温泉宿が桐島屋旅館です。江戸時代後期の大衆作家である十返舎一九の「続膝栗毛」で「桐屋」として登場しているなど、古くから知られる名温泉旅館です。温泉街はちょっと入り組んでいるので、少しわかりづらい場所にありますが、湯畑から日晃寺を目指していくと案内表示があるので見落とさないようにしましょう。浴場は館内ロビーの奥、鉄製の扉の先に浴場入口があります。浴場は貸切の家族風呂と、男女別の浴場があります。脱衣所はわりと質素で、昔ながらの温泉旅館という印象を受けました。壁には草津温泉のこと、そして温泉の入浴方法などがかかれています。ここで意外なのが、その入浴方法です。草津温泉には時間湯という独自の入浴方法があります。温度差のある湯舟は高温ですが荒行入浴ではありません。身体の状態によって適切な温度療法があり、短時間の入浴を定期的に行うものだそうです。ちなみに宿の主人は草津温泉「温泉観光士」協会の会長を務めており、そして統合医学名誉博士(Ph.D.)であるという本格的な温泉医学博士で、その他、様々な活動の経歴を持ち温泉療養については非常に詳しい方だそうです。そんなこともあり、入浴前には入浴の方法からその効能、そして温泉療養の一般論から持論まで、非常に興味深いお話を聞くことが出来ます。観光温泉(事業)と湯治療養の難しい問題もありますが、そういった貴重な話が気軽に聞くことができるので非常にありがたいです。簡単に説明を受けたところでさっそく入浴します。浴場はタイル張りのオーソドックスなスタイルですが、湯舟が手前から3つに区切られていました。手前側から順にぬるくなっていて、温度差のある湯舟となっています。湯舟の脇には砂時計が用意してあるので、時間湯を意識しながら入浴ができます。浴室の奥には小さいながらも露天風呂もあります。1人でいっぱいの小さな湯舟ですが、斜面から眺める温泉街の景色と、吹き抜ける風がとても心地よかったです。湯は微妙に鶯色っぽく白濁した感じですが、わりと透明です。酸性のスッパイ臭いがあり、草津温泉独特の風情を鼻で感じます。肌が多少ピリピリと刺激を受けるような湯で、けっこう高温ですがサッパリとした熱さです。とても気持ちいいのでついつい長く浸かってしまいたくなりますが、手がふやけてしまうのは入りすぎなのだそうです。先ほど注意されたばかりなのに、すっかり手はブヨブヨにふやけてしまいました(苦笑)。浴後も温泉に関するこだわりや、温泉効能の不思議についていろいろと話を聞くことができ、とても楽しいひとときを過ごさせていただきました。本格的に温泉で湯治をする方から、観光ついでに温泉文化に触れたい人まで、楽しく温泉を学べる温泉旅館だと思いました。今回は立ち寄りでの利用でしたが、今度は宿泊してゆっくりと主人の話を聞いてみたいと思いました。
掲載: 2010/01/23
Data
- 所在地:群馬県吾妻郡草津町大字草津
- 源泉名:湯畑
- 入浴 :2009年4月
- 泉質 :酸性・含硫黄−アルミニウム−硫酸塩・塩化物温泉
- 泉温 :源泉53.9度
- PH :2.0
- 蒸発残留物:1.50g/kg
- 形態 :温泉旅館 男女別
- 効能 :慢性皮膚病、慢性婦人病、糖尿病、高血圧症、動脈硬化症など
- 露天風呂:あり
- 開放度:☆☆☆
- 清潔度:☆☆☆☆
- 気軽度:☆
- 穴場度:☆☆☆
- 景色 :☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆
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