新潟県

かつみこうせん

勝見鉱泉

雄大な日本海と沈む夕陽を目の前に
新潟県の沿岸のほぼ中央付近、柏崎市街からクルマで1時間ほどのところに出雲崎町があります。とてものんびりとした雰囲気の町ですが古くから漁港や北前船で栄えたり、良寛さんと呼ばれる江戸時代後期の禅僧で有名なところです。日本海を眺める海岸沿い、柏崎市との町境付近にある小さな鉱泉宿が勝見鉱泉です。延々と続く海岸線沿いに国道が走り、その途中にポツンとある一軒宿です。目の前に海岸がある他は、何もないとても素朴なところで、夏の海水浴シーズン以外はとても静かなところです。とても走りやすい海岸道路と、海の景色につられていると見落としてしまいそうな小さな民宿でした。また、看板がなければまるで普通の民家なので、非常に穴場的な雰囲気もあります。しかし国道沿いに専用の駐車場もあり、立ち寄りでの入浴も行っているようなので行楽帰りに温泉で疲れを癒して帰るのもいいでしょう。春先のとても暖かい週末、釣りをした帰りの夕方にお邪魔しましたが、他に利用者もいないようで駐車場にも車は一台もなく、果たして営業をしているのかとても不安になりました。恐る恐る玄関の扉を開けると自動的にアラームが鳴って奥から人が出てきました。とても愛想の良い女将さんで、立ち寄りの入浴も快く受け入れてくれました。館内はまさに地方の民宿といった素朴でとても落ち着いた雰囲気があります。廊下の一番奥の方に浴場があります。浴場の前には大きな板に温泉の効能表が掲げられています。小さな民宿のようですが、温泉は利用されているし、浴場は男女別に別れているので、温泉に対する構え方も違いますね。脱衣場は棚にカゴが用意されているだけのシンプルなスタイルです。昭和の臭いを感じる古びた加減がまたなんともいえず落ち着きます。浴場は小さな湯舟がひとつあるだけの質素なタイプですが、家庭の風呂よりもゆったりとした感じです。洗い場は両サイドにありましたが、シャワーがついているのは一箇所のみです。しばらく経たないとお湯が出ませんと書かれていたとおり、シャワーの湯は温かくなるのにけっこう時間がかかりました。湯舟は家庭サイズよりワンサイズ大き目のものですが、木の板の蓋が被せてありました。沸かし湯なので冷めないように蓋がしてあるのですね。蓋を開けると汚れたような濁り方をした湯が張られています。脇には「水」と書かれた蛇口が2つと「鉱泉水」と書かれた蛇口があります。また別にライオンの顔の湯口がありますが、今は使われていないのでしょうかね。鉱泉水は蛇口を捻ると冷たい無色透明の水がでてきます。しっかりとした塩味と、鉄分を感じる個性的な味がありますが、決して美味しくはないにもかかわらず非常に飲みやすいあっさりとした味でした。湯は非常にさっぱりとした感じで、その滑らかさがとても気持ちいいです。沸かし湯ながらも非常に気持ちがよくて、とても大満足でした。浴後、非常に体が温まり気だるさを感じるポカポカ感も快感です。ちなみに、出雲崎町は紙風船の生産量日本一なのだそうで、宿の名前の入った紙風船をお土産に頂いちゃいました。素朴で、とても懐かしく、気兼ねしなくてのんびりできる、そんな温かみを感じる宿で、次回は海水浴の拠点として宿泊で利用したいと思えるほど、好印象の民宿でした。
掲載: 2010/01/24
Data
  1. 所在地:新潟県三島郡出雲崎町勝見
  2. 入浴 :2009年4月
  3. 泉質 :ナトリウム-塩化物泉(弱アルカリ性高張性冷鉱泉)
  4. 泉温 :源泉20.1度
  5. 湧出量:毎分9.4リットル
  6. PH :8.3
  7. 蒸発残留物:11650mg/kg
  8. 形態 :鉱泉民宿 男女別
  9. 効能 :きりきず、やけど、慢性皮膚病、虚弱児童、慢性婦人病など
  10. 露天風呂:なし
  11. 開放度:☆
  12. 清潔度:☆☆
  13. 気軽度:☆
  14. 穴場度:☆☆☆
  15. 素朴度:☆☆☆☆
  16. 異色度:☆☆☆
  17. 景色 :
  18. 総合評価:☆☆☆