北海道
かむいわきおんせん・かむいわきおんせんほようじょ
神威脇温泉・神威脇温泉保養所
鉄分と塩分を含む60度の高温の湯でピリッと体をひきしめよう
北海道の道南、日本海にポツンと浮かぶ奥尻島は、豊富な海の幸と自然豊かな観光の島です。ところが平成5年(1993)に起きた北海道南西沖地震で甚大な被害を受けたことでも知られています。その後、見事に復興を遂げたようですが、島のいたるところで、まだ当時の爪痕を感じることができます。そんな奥尻島へは飛行機か、江差か瀬棚からフェリーで訪れます。島の中心となっているのは東側の奥尻地区ですが、その反対側にある東側の中央付近に神威脇温泉があります。道路脇に一際目立っているのが神威脇温泉保養所で、地元住民の憩いの場として昭和53年にオープンした温泉施設です。もちろん観光客の利用も多く、気軽に利用できる温泉施設となっています。館内に入ると受付台のところに自動券売機があるので、入浴券を購入して受付の人に手渡します。さっそく奥の浴場に向かおうとすると「2階にも温泉あるの知ってる?」と受付の人に聞かれました。どうやら浴場は2ヶ所にあるらしく、手前側にある浴場は熱いので2階にある展望浴場の方がいいと薦められました。源泉は60度ほどあるそうで、加水をして温度調整をしているそうです。そんなわけでまず1階の浴場を覗いてみました。こちらは廊下のすぐ突き当たりにあるのですが、ちょっと狭い感じの小さな浴場です。非常に素朴な佇まいで、源泉掛け流しの湯舟があります。湯舟の湯は赤茶色に濁っていて、湯舟もまたその周辺も赤茶色に染まっています。鉄分の臭いも漂っていて、けっこう濃厚な湯だという印象を受けます。さっそく湯を触ろうとしますが、なるほど熱いです。こりゃ素直に2階の浴場に行った方がいいかもしれませんね。そんなわけでその先にある浴場に向かいました。2階へあがる階段の下には広間の休憩室もあります。今回は平日の昼間だったこともありますが、他に利用者もいなくて寂しい感じです。2階にあがると男女別に浴場の入口がありました。脱衣所は広々としていて鍵の壊れた脱衣棚が並びます。鍵は壊れたというより、利用しなくなっただけなのでしょうね。一部には扉さえも無くなってしまっている棚もありました。ガラス扉の先には浴場があります。こちらは外側が大きなガラス窓になっているので、非常に明るい印象を受けました。湯舟のスタイルなどは1階の浴場と同じようですが、こちらの方が広々としています。また、窓の外には港がよく見え、非常に開放感があります。港の奥にはもちろん広大な海や奥尻の自然豊かな海岸線を見ることもできました。さて、浴室に入るとまずはムッとした熱気に包まれます。こちらも同じように大量に湯が湯舟から溢れ出て床を流れていますが、こちらも相当熱いです。溢れ出る湯の上を歩いただけでも「アチチ」と感じるほどです。水道の蛇口があり、加水することも可能ですができるだけそのまま入りたいと思い何回か掛け湯をして体を馴染ませたところで湯舟に入りました。ところが熱いのは湯舟の表面だけで下は何とか入れる温度です。加水率は5%程度と説明にありましたが、まぁそれでも十分に熱いですね。湯は濁っていますが、底がなんとか見えるぐらいです。底の方には赤茶色の粉っぽいものも沈んでいました。湯を舐めてみると鉄の錆びたような味と、薄い塩味があります。温泉の熱さだけでなく成分による温熱効果もありそうですね。ちなみにカランの水を浴びようとしたらこれがまた、非常に冷たいです。冷水を浴びて体を冷やしてから湯舟に浸かると、これもまた気持ちよかったです。水風呂もあるといいなと思いました。素朴ながらも非常に満足感のある湯と施設で、奥尻島に来たなら観光だけでなく是非とも温泉にも入ってほしいと思いました。
掲載: 2010/03/27
Data
- 所在地:北海道奥尻郡奥尻町湯浜
- 源泉名:1号井と2号井の混合
- 入浴 :2009年8月
- 泉質 :ナトリウム・カルシウム−塩化物泉(中性高張性高温泉)
- 泉温 :源泉64.3度
- 湧出量:毎分285リットル(1号井135L、2号井150L)
- 掘削深度:30メートル
- PH :6.4
- 蒸発残留物:11.75g/kg
- ラドン含有量:0.887マッヘ単位/kg
- 形態 :公衆浴場 男女別
- 効能 :神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばりなど
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆☆☆
- 清潔度:☆☆
- 気軽度:☆☆
- 地元度:☆☆☆☆
- 穴場度:☆☆☆
- 鄙び度:☆☆
- 異色度:☆☆☆
- 景色 :☆☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆☆
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