宮城県
おおさとおんせん・ゆめみのくに
大郷温泉・夢実の国
本格的な地ビールと、豪快な階段式野天風呂
日本三景のひとつ「松島」からクルマで20分ほど、大郷町の丘陵地帯に建つ日帰り温泉施設が「夢実の国」です。ここは単なる温泉施設ではなく、地ビール工場も隣接するブルワリー温泉施設なのです。施設の雰囲気がいいと評判で、さっそく訪れてみました。建物は洋風のレンガ造りで、とても温泉施設には見えません。まるでキリスト教会のような雰囲気があります。館内に入ると下足箱に券売機、そして受付がありました。受付の奥には食事処兼休憩室となっているエリアがあります。さすがにブルワリーとなっているだけにビールを美味そうに飲んでいる客がいっぱいいますね。浴場は右奥のようです。奥の方に行くと、右手には畳の休憩室もありました。さらに奥へと進むとそこにも食事処があります。突き当たりの部屋では蕎麦の食べ放題メニューも用意されていました。ところで肝心の浴場が見当たりません。どこだろうかと見渡すと、隅の方に小さな入口がありました。「なんだここは、ブルワリーと食事がメインで温泉はオマケみたいなものか?」と不安を感じならず入ると、男女別にやや小ぢんまりとした脱衣所がありました。コイン返却式の鍵付きスチールロッカーが並んでいて、そんなに広くはありません。ちょっとガッカリしながら浴室に入ると、これが意外なことに広々として雰囲気のいいものでした。まず天井は高く、そして大きな湯舟と、湯舟の奥のガラス窓の外には露天風呂が広がっていました。男女を隔てる石垣の上からは、湯が小さな滝のように落ちていて、非常にいいムードです。さっそく体を流して湯舟に浸かります。湯舟の奥には扉があり、湯に浸かったまま外の露天風呂へと出ることができました。露天風呂に出ると、これがまた不思議な光景に心を奪われます。湯舟はひとつだけではなく、その上に一段、またその上に一段、そしてさらに上に一段と、4段もの湯舟が立体的に並んでいるのです。謳い文句では5段となっているので、内湯も含めているのでしょう。その5段の湯舟は、上から順に湯が流れ注がれていて、足場の階段も湯の沢になっています。湯舟は不ぞろいな石がレンガ状に積まれた石垣に囲まれていて、それが立体的に奥へと続いているので、何だか古代遺跡のような印象も受けました。湯舟は一番上から「源泉の湯」「夢実の湯」「うたせの湯」「白地の湯」となって、内湯が「トルマリンの湯」と名付けられています。その名の通り、内湯はトルマリン石が敷かれた湯舟になっていたり、宮城県産の白地石を使用した湯舟、三本の打たせ湯がある湯舟などとなっています。「源泉の湯」は底に玉石が敷き詰められていて、その間から湯が注がれているということです。脇からも湯が出ていますが、しっかりと消毒臭もあるのでそのまま掛け流しというわけでもなさそうです。露天の周囲は森に包まれていて非常に静かな雰囲気です。枯れ葉舞い散る晩秋に訪れましたが、湯面には沢山の落ち葉が広がっていて、セピア色の情緒が漂っていました。湯は無色透明で見た目には大人しい湯でしたが、舐めてみると何となくしょっぱいような、でも苦い味覚のある個性的な湯です。週末の昼間に訪れましたが、意外にもそんなに混雑していません。お風呂の雰囲気は格別だし、食事もできて地ビールも飲めちゃうので、こんな美味しい施設はありませんよね。意外な穴場なのですかね。たまたま幸運に恵まれて空いていたのかはわかりませんが、非常に満足できる温泉施設だと思いました。
掲載: 2010/07/17
Data
- 所在地:宮城県黒川郡大郷町東成田字新田
- 入浴 :2009年11月
- 泉質 :ナトリウム・塩化物泉(低張性弱アルカリ性温泉)
- 泉温 :源泉40.3度
- PH :8.0
- 形態 :公衆浴場 男女別
- 効能 :きりきず、やけど、慢性皮膚病、虚弱児童、慢性婦人病など
- 露天風呂:あり
- 開放度:☆☆☆☆
- 清潔度:☆☆☆
- 気軽度:☆☆☆☆
- 異色度:☆☆☆
- 景色 :☆☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆☆
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