徳島県
まつおがわおんせん
松尾川温泉
秘境にひっそりと湧く滑らかな名湯
三好市池田町の山の中、松尾川沿いにある日帰り温泉施設が「松尾川温泉」です。池田の市街地から大歩危方面へと向かい、途中から祖谷温泉方面へと向かいますが、細く険しい山道でクルマの運転も慎重になります。そしてさらに松尾川沿いの細い道をのぼって行きます。途中、落石が道に落ちていたり、猿が道端で喧嘩していたりと不安になりますが、やがてこんなロケーションにはにつかわしくない大きな建物が見えてきます。鉄筋の古ぼけた感じのある建物ですが、このすぐ裏に目的の温泉施設がありました。温泉施設は木造の小さく素朴な建物ですが、まだ新しいのでしょう、とても綺麗なものでした。よくもまぁこんなところに温泉施設をつくったなぁという印象です。さすがに冬場だったので客は少なかったですが、夏場は渓谷で水遊びをするなど、秘境の癒しを求めて、また温泉を目当てにやってくる人が多いのだそうです。小屋の中央には受付があり、右側が女湯、左側が男湯となっていました。扉を開けて中に入ると、小ぢんまりとした素朴な脱衣所がありました。規模からすると大人が3〜4名も入れば十分といった感じです。まさに共同浴場という雰囲気でした。一応、洗面台にはドライヤーがセットされていたり、木造のロッカーも鍵の架かるタイプのものでした。浴室はこちらも小ぢんまりとして内湯のみのシンプルなスタイルです。内側に洗い場が狭苦しく並び、窓側に湯舟があります。湯舟は横に細長く、大人が4名ほどでいっぱいという大きさです。木造のしっかりとした湯舟で、一部には手すりもついています。郵便ポストのような木箱から湯がトロトロと注がれ、そのまま床へと溢れ出ていました。窓は大きく作られていて、外の渓谷を見下ろすことができます。何もない山の中、対岸の緑や渓谷の美しさを堪能しながら、どっぷりと温泉に浸かることができます。湯は底までくっきりと見えるほど透明度の高い無色透明の湯です。見た目には何の変哲もないように感じますが、湯舟に浸かるとヌルヌルっとした浴感に包まれ、とても心地よい湯です。まるでスキンローションのような優しく滑らかな湯で、この湯を目当てに遠くから通っている人も多いのだそうです。常連さんたちも、口々に「ここの湯は四国で一番の湯だ」と言っています。観光客やよそ者を見つけると、常連さんや地元の方々が湯の自慢をはじめる温泉がたまにありますが、そういう温泉というのは本当にいい湯が多いです。ここも例外ではないようですね。冬場で外の景色も寂しいものでしたが、春になると渓谷には鯉のぼりが飾られ、とても風流なのだそうです。「冬は猿しかおらん」と言っていましたが、本当に猿たちが遊んでいるのが見え、自然の豊かさをあらためて感じました。ちょっと辺鄙な場所ですが、是非とも訪れておきたい名湯だと思います。
掲載: 2010/10/23
Data
- 所在地:徳島県三好市池田町松尾黒川
- 入浴 :2009年12月
- 泉質 :単純硫黄泉(低張性アルカリ性低温泉)
- 泉温 :源泉25.0度
- 形態 :公衆浴場 男女別
- 効能 :慢性皮膚病、慢性婦人病、きりきず、糖尿病など
- 露天風呂:なし
- 開放度:
- 清潔度:☆☆☆
- 気軽度:☆☆
- 地元度:☆☆☆
- 秘湯度:☆☆☆
- 異色度:☆☆☆
- 人気度:☆☆☆☆
- 景色 :☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆
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