高知県
かいゆのゆおんせん・かいゆのゆ
海癒の湯温泉・海癒の湯
海岸美を楽しみながら、現代版の湯治を体験
四国の南西部、四万十市の中心地から足摺岬方面へと向かってクルマで30〜40分ほど、大岐海岸近くに建つこだわりの温泉施設が「海癒の湯」です。宿泊施設に隣接した温泉施設ですが、もちろん一般の入浴客も利用できます。ここは平成18年(2006)にオープンしたばかりの新しい温泉施設ですが、さまざまなこだわりを見せた本格的な温泉ということで期待して訪れてみました。年末の大晦日、花雪が舞う晴れた午前中に訪れましたが、他にまだ客はいないようです。黒塗りの木造の建物で、和風とモダンとを掛け合わせたようなスタイリッシュな雰囲気の温泉施設です。館内に入ると、南国リゾートホテルのようなロビーがありました。受付で料金を払うと、温泉の説明を受けました。ここは療養泉として現代版の湯治湯を行っているので、温度を低くしているとのこと。ぬるいけどその分だけ長く浸かってくださいとのことでした。言われなくても元々長湯なので、お言葉通りじっくりと湯を楽しむことにします。浴室はどこなのか一瞬わかりづらいですが、ロビー脇の大きなドアを開けると浴舎につながっています。暖簾をくぐったところに貴重品用ボックスがあり、そして脱衣所となります。木目の鮮やかな木造で、暖かみと素朴さを感じる佇まいです。鍵の架かる木造ロッカーがあり、浴場側も外側もガラス窓になっていて、明るく広がりを感じる空間になっていました。奥の一角にはヤカンとコンロがあり、セルフでお茶を沸かして飲めるようになっていました。浴場は小ぢんまりとしながらもモダンな雰囲気が漂います。洗い場には金属製の桶がありますが、なんだか懐かしさのある質感や音が新鮮です。湯舟は左右2つに区切られていて、湯の注ぎ口は片方にだけあるので、右側がぬるく、左側はそれより少し温度が高めになっています。湯はほんの少し、黄色っぽく濁っている気がします。さっそく掛かり湯をして中に入りますが、なるほど熱くないのでこれなら長湯できそうです。また、ヌルヌルっとした浴感が全身を優しく包み込みます。肌の表面に極々薄い膜がはったような不思議な感覚です。注ぎ口には湯水の蛇口がありますが、どちらも源泉100パーセントなので、加水しても加熱しても源泉の効果をそのまま味わえる仕組みです。このときは温度は38度ちょっとありました。真冬とはいえ、そんなにぬるいとは感じない温度で、じっくりと楽しめそうです。外側はガラス窓でそのすぐ外側にはバルコニーのようなサンデッキがあるのですが、外は気温が0度近いので出るのはやめました。陽が当ってサンルームのように暖かさのある浴場でした。長く浸かっていると、ポカポカとあたたまり始めます。そこで浴室の隅にある岩盤浴サウナに入ってみました。こちらはスチームサウナのような感じで、奥に熱い湯がシャワーとなって流れて、湯気が充満しています。腰掛の部分が岩盤浴用の花崗岩となっているようです。熱くないのですが、10分ほどすると汗がにじみ出てきました。浴室内にはジャズや環境音楽みたいなものが静かに流れていて、とても優雅な気分になります。また、忘れてはならないのが、浴場から見える景色です。道路より少し高い位置にあり、また目の前にあるのは太平洋と海岸美で有名な大岐海岸です。まるで南国リゾートのプライベート・スパ施設にでもいるような気分になりました。けっこう長く湯を楽しんでいたのですが、結局、他に誰も客は来ませんでした。こんな雰囲気のいい湯を独占できて満足度も高まりました。ちなみに湯は薪で沸かすなど、湯の管理にもこだわりがあるようです。雰囲気もよく、景色もよく、そしてお湯もよく、たまには訪れてみたい温泉施設だと感じました。
掲載: 2010/11/14
Data
- 所在地:高知県土佐清水市大岐の浜
- 入浴 :2009年12月
- 泉質 :ナトリウム−塩化物炭酸水素塩低温泉
- 泉温 :源泉28.0度
- PH :8.7
- 形態 :温泉施設 男女別
- 効能 :きりきず、やけど、慢性皮膚病、慢性婦人病、虚弱児童など
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆☆☆
- 清潔度:☆☆☆☆
- 気軽度:☆☆
- 穴場度:☆☆☆
- 異色度:☆☆☆
- 湯治度:☆☆☆☆
- 景色 :☆☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆☆
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